市立恵那病院 浅野 雅嘉 病院長

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来春に産科を開設

岐阜県立岐阜高校出身 1980 自治医科大学卒業 同年岐阜県立岐阜病院(現岐阜県総合医療センター)研修医 1992 岐阜市民病院外科医長1993 医学博士取得2006 市立恵那病院 院長 2014 岐阜大学医学部客員臨床系医学教授

 市立恵那病院は、旧国立療養所恵那病院の運営を引き継ぎ、2003年12月に岐阜県内初の公設民営病院としてスタートした。開設者は恵那市。公益社団法人地域医療振興協会が管理運営する。初年度から黒字経営を続ける同院の浅野雅嘉病院長に話を聞いた。

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―院長として11年目。これまで特に注力してきたことなど。

 救急医療に、力を入れてきました。救急車は原則、すべて受け入れるのがモットー。私も最近まで月2回の当直に入り、率先して受け入れるようにしてきました。しかも、医師別の救急車受け入れ台数のランキングを発表し、互いに切磋琢磨( せっさたくま) するような仕掛けもしました。その結果、11年前は年間約600台だった搬入台数が昨年度は1396台、1日4台弱を受け入れていることになります。常勤医16人規模でこれだけの数を受け入れている病院はあまり例がないと思います。

 2009年には、ヘリポートを整備しました。もともと当院の前身は国立療養所で、東京ドーム6個半の広さ31ヘクタールという広大な敷地を持っていました。その有効活用について考えていた時、岐阜大学医学部救急災害医学の小倉真治教授からヘリポートを造っては、とアドバイスをいただいたことがきっかけです。昨年度は12件のドクターヘリの利用があり、救急医療に役立っています。

 また、小倉教授は、岐阜県内で「MEDICAカード」という個人の医療情報カードの普及推進に務めています。

 このカードを所持していれば、県内であれば万が一倒れた際にも、救急隊員がカードの情報をリーダーで読み込み、患者の医療情報をすぐさま把握、いち早く適切な対処が可能となります。当院も発行に協力し、これまで累計600枚を発行しました。

 恵那市、中津川市の救急隊のみなさんとは月1回の救急搬送事例検討会を実施し、情報共有にも力を入れています。

―自治体立優良病院会長表彰」などの実績もあります。病院運営で大切にしていることは。

 私自身は、病院長になる前は臨床中心で病院運営は初めてでした。ですから、まず患者さん、職員、地域の開業医の話を聞くことが大事だと思いました。特に、患者さん・職員からの意見は、毎月1回の診療運営会議で検討し、いい提案はすぐに取り入れるようにスピード感を持って実行しました。開設者は市ですが、ある程度自分たちの責任のもとに、地域の医療事情に沿った形で運営ができたことは大変有難かったと思います。

 医師やメディカルスタッフの確保や育成は課題の一つです。そのため、独自のアイデアとして、医師全員にiPadを支給しました。医師が医療に関する情報を知りたい時には、院内どこにいてもWi-Fiを利用しながら情報を活用でき、取得した情報を素早く臨床や研究に役立てるような環境作りをしました。有料の医療情報サイトなどにも病院が契約していますので、個人で契約しなくとも、いつでも利用できます。

 3年前、アメリカから帰国した医師が、当院に研修医として着任しましたが、当院を選んだ理由をたずねると、「情報環境が整備されているから」と聞いてうれしかったですね。

 また、認定看護師を育てるために、受験料、受講料の費用はすべてサポートしています。すでに8人が、がん緩和、認知症、感染管理などの認定看護師となって活躍しています。

―地域との連携は。

 2007年度から、開放病床登録医制度をスタートしました。地域の開業医の先生方と一緒になって患者さんを診ていこうという試みです。恵那市、中津川市のほぼすべてにあたる51施設が登録しています。当院の玄関には、登録医のリーフレットを当院が制作し設置しています。患者さんから好評です。

 CTやМRIといった高額医療機器の利用を地域の医療機関に開放する取り組みも2015年から行っています。撮影後、地域医療振興協会施設である東京北医療センターの放射線専門医のレポートが、開業医のもとにネットを通じて送信されます(遠隔画像診断システム)。当院の医療資源を活用しながら、開業医のみなさんにもメリットを実感していただけると思います。

 また、昨年2月には、恵那歯科医師会と、がん患者の口腔ケアに関して提携を結ぶこともできました。当院の入院患者や在宅の患者への口腔ケアサポートなどが充実するものと期待しています。

―新病院を建設中、本年11月竣工です。

 新病院開設にあたっては、「検討会」をつくり職員とともに検討してきました。新病院での新たな取り組みとしていくつか柱があります。まず一つが健康管理センターを設けるということです。これまでは、専用の場所がなく、外来をしながら人間ドックなどをやっていたというのが実情でしたが、専任の医師を置き、充実をはかります。

 また、地域の長年の願いであった産科を立ち上げます。現在、恵那市には出産できる場が1カ所もなく隣接する中津川市、あるいは瑞浪市に行っていたため、市民への負担が大きかったと思います。来年秋には、産科医師3人体制とする予定です。医師の他、助産師6人を採用し、すでに地域の妊産婦さんへのサポートを始めています。併せて、産科の救急体制を構築するため、周産期の救急教育プログラムを私も含めて10人が受講しました。

 在宅医療のサポートも課題で、訪問看護ステーションを昨年立ち上げ、訪問リハビリテーションもスタートしました。まだスタッフは数人ですがいずれは、もっと増やして、開業医の先生方と役割分担をしながら、地域の在宅医療をしっかり支えます。

公益社団法人 地域医療振興協会 市立恵那病院
岐阜県恵那市大井町2725番地
TEL:0573-26-2121(代表)
http://www.enahp.enat.jp/

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