瀬戸内市立 瀬戸内市民病院 竹内龍三 病院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

市民に安らぎと幸せを届ける

岡山朝日高等学校卒業 1979 鹿児島大学卒業 国立岡山病院 1982 岡山大学附属病院勤務 1983 水島中央病院勤務 2004 倉敷第一病院 2014瀬戸内市立瀬戸内市民病院院長

c16-1-1.jpg

―新病院の建設も大詰めですね。

 建物はすでに完成していて、10月1日(土)に開院予定です。設計段階では3階建てだったのですが、予算を見直して2階建てに変更しました。しかし、かなり広いスペースを確保することができ、現行病院の2・5倍程度の延床面積になります。

 病棟とリハビリ室を2階に、外来診療、事務部、検査部、食堂などの機能を1階に集約しました。なるべくエレベーターを使わなくてすむような設計になっています。現病院は今後駐車場にする予定で、約5倍の広さになります。

 施設・設備といったハード面がいくら良くても、提供する医療・サービスといったソフト面の質が悪ければ意味がありませんので、2014年春に赴任してから2年間はソフト面の充実に注力してきました。職員たちも三河内弘病院事業管理者と私の考え方に賛同してくれて、やる気を持って各業務に取り組んでくれています。

 かつては、どちらかというとゆったりした雰囲気の病院でしたが、今はとても忙しくなりました。それにも関わらず、この2年間は定年退職を除くと、ほとんど退職者が出ていません。新しい病院に向けて強い意気込みがあり、みんな毎日よく働いてくれるので、とても感謝しています。

―どのようにソフト面を充実されたのですか?

 まずは職員数ですね。看護師の定数枠を増やしてもらうよう、市に要望を出し、2014~2015年にかけて、15人増やしてもらいました。しかし、110床の病床を十分に回すには、それでもまだ足りない状況です。

 それから、医師や看護師の事務作業負担を軽減するために、医療クラーク(医師事務作業補助者)を導入しました。この職種の導入に関して、当初は否定的な意見もありましたが、彼らが事務的なことを引き受けてくれることで、医師、看護師、介護士は患者さんに向き合う時間が増え、診療の質の向上に貢献してくれています。

 病院の経営状況にもう少し余裕ができれば、他の職種も随時増員していく予定です。そうすることで、職員には時間外勤務を減らし、できるだけ自分の時間を持ってもらいたいと考えています。

 また、私が外科医ということもあり、この3年間で手術件数を大幅に増やしました。赴任当初は患者さんに「この病院で手術はできるんですか?」と言われるような状況で、他院に行かれる方が多かったのですが、今では眼科、整形外科、一般外科の3科を合わせて年間手術件数は赴任前の2倍強に増えています。

―緩和ケアにも力を入れているそうですね。

 外科医として師事していた森本接夫先生の影響で緩和ケアに取り組んできました。森本先生の「人間の命には限りがある。最期のとき、患者さんには"良かった"と思って、安らかな死を迎えてもらうことも医師の努め」という教えに心を動かされ、緩和ケアについてはずいぶん勉強してきました。

 以前勤務していた倉敷第一病院では「緩和ケアフォーラム in 岡山」という岡山県南西部の緩和ケア研究会を立ち上げ、いろいろな医療職種や患者さんなど、約100人近くの参加を得て年4回さまざまな討論を行っていました。瀬戸内市は高齢者が多い地域でもありますし、患者さんの中には入院中に亡くなられる方も多くいらっしゃいますので、これからはこの地域でも緩和ケアに力を入れていきたいと思っています。

 市の人口統計によると、瀬戸内市の高齢化率が約32%。市内の牛窓町は約42%。邑久町尻海地区に至っては約49%にもなります。老老介護の世帯も多く、介護する方が病気をしたり、入院したりした場合、残された方の介護はどうするのかという問題に直面しています。たとえ子どもがいたとしても、同居していない上に仕事を 抱えているため、親の面倒を見ることができないのです。

 高齢者の場合、夜のケアも重要なのに、デイケアサービスはあっても、夜間にみてくれるところはありません。ですから、ナイトケアサービスといったものの必要性も感じています。

 まずは、この病院の立ち位置をしっかりと確立することです。病院の機能分けが全国的に進んでくる中、以前のようにどの病院でも同じ様な診療をするという時代は過去のものとなっており、病院は超急性期・急性期・回復期・療養期と機能分化されてきています。

 瀬戸内市民病院も地域性・病院力から考えて、急性期・回復期を担う病院として、これからは頑張るべきではないかと思っています。そのためには「治す医療」だけではなく、「支える医療」にも力を入れ、市民の皆さんに愛される病院にしたいと考えています。

 経営的にはこの2年間も赤字でしたが、赤字幅は大きく減少し、2014年度は約150万円の赤字で終わりました。しかし今後の展望としては厳しいものがあります。

 特に「市民病院」といっても、市は一時的に払ってくれるだけで、最終的には新病院の建築費は当院がこの借金を返済します。35年計画で年間1億円強の予定です。この病院は市から援助を受けないで運営するという方針でやっていますから、もっともっと体力をつける必要があります。

 新病院建設の借金を返しながら、独り立ちできるようにするには何をすべきか、真剣に考える必要があり、5年後には市からの補助金が打ち切られるという話も出ています。そのために今、力を入れ始めているのが健診です。

 瀬戸内市は住民健診の受診率が20%前後と、低いこともありますので、地域と連携しながら、市民の健康を預かる中心医療機関として受診率向上にも力を入れていきたいですね。

 また、このエリアには回復期リハ病棟を持つ施設がありません。そこで県に交渉して新病院には、リハ病棟( 30床)も作りました。大きな病院で手術をした患者さんの、退院後の受け皿としての役割も担っていきながら、訪問看護やナイトケアサービスも、今後市と交渉しながら進めたいと思います。

 「市民に安らぎと幸せを届ける病院を目指す」という理念のもと、瀬戸内市民の方々に愛されて、安心して利用していただけるような病院にしていきたいですね。

瀬戸内市立 瀬戸内市民病院
岡山県瀬戸内市邑久町山田庄845番地1
TEL:0869-22-1234(代表)
http://www.city.setouchi.lg.jp/kurashi/soshiki/hospitaljigyobu/setouchihospital/

九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る