― 乳腺外科医と形成外科医、手術体験者が伝える ―
NPO法人E‐BeC(エンパワリング ブレストキャンサー)は、このほど、九州で初めての「乳房再建全国キャラバン」を福岡市中央区で開き、女性124人が参加した。
冒頭、乳腺外科医の田中眞紀・久留米総合病院院長と、再建に定評のある矢永博子・矢永クリニック院長が講演。
田中院長は、乳がん手術の現状を、「2013年に乳房再建手術が保険適用になって、以前に比べて全摘術を希望する患者の割合が増えてきた」とし、「再発を防ぐためには、どんなに小さいがんであっても、浸潤の程度によっては切除することもある。しかし、患者の身体的・肉体的QOL向上のためには、乳房をきれいに再建させることも医師としての重要な役目」と話した。
矢永院長は、乳房再建手術の種類や方法について、動画や画像を示しながら具体的に説明。「乳がんかもしれないと思ったら、怖がらないですぐに乳腺外科を受診してほしい」と訴えた。
講演後、参加者たちは、14人の乳房再建体験者たちの胸を実際に見たり、触ったりした。女性同士和やかな雰囲気の中、再建体験者たちは、手術後の痛みや違和感、手術費用などについての質問に答えていた。
これまで、乳房再建に関する情報を得る機会が少なかったという参加者からは、「乳がんのことがよくわかった」「再建後の乳房がとても自然で驚いた」「再建手術経験者の生の声を聞くことができてとてもよかった」などの感想が聞かれた。
同法人は、2013年、真水美佳理事長が設立。自らも8年前に乳がんとなり、乳房を切除。乳房再建手術によって胸を取り戻した経験から、乳房再建手術に対する正しい情報の提供と乳がん患者のQOL向上を目的に活動を始めた。
全国の乳腺外科医、形成外科医、患者会などと連携。地方都市に住む乳がん患者とその家族を対象に、乳がん手術、乳房再建を手掛ける医師による講演や、手術経験者による経験談などを聞くことができるイベントを実施している。