JA静岡厚生連 遠州病院 水上 泰延 病院長

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常に目標を掲げ、全力で取り組む

1977 信州大学医学部卒業 稲沢市民病院 1985 名古屋大学第一外科 1987JA静岡厚生連遠州病院 2005 同院長

 JA静岡厚生連遠州病院は1938(昭和13)年に設立。地域の救急医療を担う急性期病院であるとともに、回復期リハビリ病棟を持つケアミックスの病院でもある。

 水上泰延病院長に病院の特徴や今後の取り組みについて聞いた。

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■五つのビジョン

 院長に就任したのが2005年。新病院完成を2年後に控えていた時期でした。当時の経営状態は芳しくなく、医師、患者は減少し、職員のモチベーションは下がっていました。

 そのような状況下、最初に取り組んだのは職員の意識改革です。そのためには「どのような病院を目指すか」のビジョンを示すことが重要だと思い、所信表明では五つのビジョンを掲げました。

 一つ目は「ICU・救急病棟を持ち救急医療を積極的に担う急性期病院」、二つ目は「慢性期『リハビリ、緩和ケア、在宅医療』に対応できる病院」です。当院は1999年から療養病棟47床を備えるケアミックス病院として運営していました。この療養病棟を回復期病棟に変更することで、急性期から回復期、更には在宅まで見据えた一貫した医療、患者さんに優しい医療が提供でき、他の急性期病院とは違う特色を打ち出せるのではないかと考えたのです。

 三つ目は「JA・地域住民のための病院」。四つ目は「災害時に拠点となる病院」。最後が「研修医の集まる病院」です。

 理念として「心と心のふれあう医療」を掲げ、その行動指針を示すとともに、毎月の朝礼で病院の方向性を提示することで次第に職員の心が一つにまとまっていくのを感じていました。そして2007年、新築移転。病院名を「遠州総合病院」から「JA静岡厚生連遠州病院」に変更しました。

 就任当初に1年後の内科の撤退を告げられ、目の前が真っ暗になったことを覚えています。その後、浜松医科大学より内科医師の派遣が決まり、徐々に医師が増え、2006年の医師数34人が現在は73人となりました。

■労働環境の改善

 職員のQOL向上と離職希望者を減らす取り組みに力を入れています。

 2012年度は看護師不足に悩まされていました。原因は子育てをしながらの勤務の過酷さ、時間外業務の多さ、看護業務以外の業務もこなさなければならなかったこと、近隣病院との就業条件の格差などが考えられました。そこで、労働環境の改善のために時間外勤務削減、看護師業務の見直し、看護助手の増員、薬剤師の病棟配置、夜間院内保育所の充実に取り組みました。

 その結果、看護師の離職率は2011年度の16.1%から2013年度の10.6%まで減少。この数字は全国(11.0%)及び静岡県(10.8%)の平均を下回っています。

■生き残りのために

 急性期病院として生き残っていくには地域で不可欠な存在であり続けなければならないと考えています。そのためには地域医療支援病院として病診連携の強化を図り、救急医療に貢献し、地域で求められる医療を提供し続けることが重要です。

 DPC病院として「機能評価係数Ⅱ」を高める取り組みを行った結果、2015年の静岡県下で24位が2016年には9位に。「暫定調整係数+機能評価係数Ⅱ+基礎係数」も2015年と比較してプラスとなりました。

 今年の診療報酬改定では、7対1入院基本料の施設基準である重症患者割合が25%に引き上げられました。その基準をクリアするために、救急患者の受け入れ態勢を充実させ、手術件数を増やす対策が求められます。

 2013年、ダイヤモンド社の「頼れる病院ランキング」で県内8位になりました。今後はベスト5に入るため、さらなる努力を重ねていきたいと考えています。

 回復期リハビリテーションの将来像として、県西部の拠点病院を目指しています。今年の4月からリハビリ医が3人と充実した体制になったことで、一歩近づいたと思います。呼吸器リハビリなど高度急性期疾患にアプローチして、他院と違う特色を打ち出していきたいですね。

 この地域には病院が多く、急性期の病院として生き残るのは熾烈(しれつ)です。若い職員が10年後も胸を張って働いていられる病院にするのが私の役目だと思っています。そのためにはこれからもどういう病院にしたいかという目標を常に掲げ、全職員にその思いを伝えていきたいと思っています。

■セクションの垣根を超えた交流

 当院では新人歓迎会、駅伝大会、納涼会、運動会、忘年会、スキーなどに全職種が参加します。それにより、セクションの垣根を越えた交流ができるのがいいところです。

 運動会では看護師さんを含めた女性職員が子どもさんを連れて参加してくれます。「こんな小さな子どもを育てながら働いてくれているんだ」と思うと感激しますね。

■患者会での活動

 ストーマを装着した人は人目を気にして旅行などの外出がしづらいものです。そこで、同じ境遇の人が集まり、悩みごとを相談したり、一緒に旅行に行く機会をつくろうと、1988(昭和63)年、前院長と人工肛門、人口膀胱の患者会「ひまわり会」を設立しました。

 年1回の旅行は、われわれ医療者と会員さんとの触れ合いの場になっていますね。会員同士お互いのストーマを見せ合い、先輩が新人にケアの仕方を教える。一緒に風呂に入り、お互いの背中を流す。そうすることで、家に引きこもりがちだった会員さんも外に出る楽しみを覚え、積極的になりました。今年10月の旅行は、諏訪の温泉で1泊する予定です。

 患者会の旅行といっても、健康な人の旅行と変わりません。今でも覚えているのが、会発足後初の旅行での一コマです。患者会とアルコールが結びつかなかった私はお酒の用意をしていませんでした。するとバスに乗ったとたんに会員さんから「お酒はないのか」と言われました。当然、高速道路のサービスエリアにはお酒を売っていません。あわててインターを降りて買いに行ったことが懐かしく思い出されます。今ではひまわり会での活動は私にとっての宝物になっていますね。

JA静岡厚生連 遠州病院
静岡県浜松市中区中央1丁目1番地1号
TEL:053-453-1111(代表)
http://k-enshu.ja-shizuoka.or.jp/

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