地域に根づく密着型病院として
三重県立志摩病院は、志摩市を中心にした県南部の拠点病院として、災害医療、救急医療などの役割を担う。勝峰康夫院長に話を聞いた。
◆救急と災害対策で地域を守る
当院は、県の指定する災害拠点病院です。三重災害派遣医療チーム(DMAT)指定病院として、DMAT1チームも保有しています。
南海トラフ大地震への対策もしており、院内の災害訓練を年に2回以上は実施、地域内の災害訓練にも積極的に参加し
2008年には敷地内にヘリポートも設置しました。災害用備蓄庫も設置し、約550人分の4日間の非常食や診療材料やベッド、テントなど受入病院用器材セットを保管しています。
救急医療においては、「断らない救急」がモットーです。ただ、循環器の専門医がないため、心筋梗塞などは伊勢赤十字病院(三重県伊勢市)に受け入れてもらっています。いずれは当院でも専門医を置き、対応できるようにしたいと考えています。
◆指定管理者導入で医師・看護師・薬剤師などの確保に光
2012年に、公益社団法人地域医療振興協会の管理指定の病院となりました。同協会は自治医科大学の卒業生が中心になって設立した全国組織の社団法人です。
協会の主な目的は、へき地医療への対策で、現在全国各地で、67施設の運営をしています。
志摩市は、人口10万人あたりの医師数が164.7人で、全国平均の244.1人を大きく下回っています。
当院も医師の確保がなかなかできずに厳しい状況が続いていました。しかし、同協会が運営するようになったことで、医師もある程度増え、病院の機能も回復しつつあります。
ただ、今後も医師や看護師の確保は課題です。
当院は、伊勢志摩国立公園内の素晴らしい環境にありますので、興味のある方は一度足を運び、仲間として一緒に働いてほしいと思います。
◆地域住民を大切に
現在当院は一般病床250床、精神科病床100床と合計350床を擁しています。
今年2月に、院内の一つの病棟、30床を地域包括ケア病棟に転換しました。これによって、超急性期病院の支援病院として、在宅までシームレスにつなげる役割を果たしていけるようになりました。
また、地域包括ケア病棟開設をきっかけに、地上の院内研修を柱に、必要があれば、随時実施している勉強会なども通して、看護師やメディカルスタッフの育成には特に力を入れています。
また、地域医療振興協会内の病院での研修が可能ですし、短期での異動が可能なことも特徴でしょう。
地域の高校生や看護学生を対象にした、メディカルスタッフの職場体験ができる「メディカルスクール」も年に一度実施しています。
医療を担う若い世代に、早くからこの分野に興味を持ってもらえればと思っています。
看護師と薬剤師の確保においては、この地域では最高額の独自の奨学金制度を設けました。これを利用して、毎年8人程度が入職しています。
朝礼などでは社会で起こっているニュースや時事問題などを取り入れた話をします。医療のことだけでなく幅広い視野を持って患者さんに接してほしいと思っています。
少ない人員のなかで、みんな頑張っていますので、日ごろから、体調管理には十分気を付けてほしいということも伝えています。
- 三重県立志摩病院 指定状況
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