有料老人ホーム運営責任者の本音
2018年に予定されている医療・介護制度同時改正を見すえた「らくらすセミナー」(主催:福岡県の高齢者医療介護情報誌「らくらす年鑑」、九州医事新報社、Hyuga Pharmacy「きらり薬局」)が7月10日、福岡市のJR博多シティで開かれ、医療連携などについて講演やパネルディスカッションがあった。医療関係者ら20人余が参加した。
「有料老人ホームの立場から見る依頼が増える訪問医~運営責任者の本音」がテーマのパネルディスカッションでは、西鉄ケアサービス介護付有料老人ホームサンカルナ博多の森の和田清己副支配人(以下、和田)、西日本介護サービス住宅型有料老人ホーム生活倶楽部ウィズ長岡Ⅱの椎木隆嗣施設長(以下、椎木)、デニッシュケア住宅有料老人ホーム心しあわせ楽園春日の中山正吾楽園長(以下、中山)がパネラーとなり、クリニックの開業医から集めたアンケートに答える形で意見を述べた。
主な質問、回答は以下の通り。
質問①医療連携をして良かったと思うことは。
中山:入所者が発熱した際はインフルエンザなどの感染症を疑う必要があります。われわれは入居者はもちろん、職員も守らなければなりません。その時に適切なアドバイスをいただけると非常にありがたいですね。
質問②提携している医療機関から困った医療行為や対応をされたケースは。
和田:医師が不在、または専門外などを理由にした診療の拒否です。入所者が発熱し、病院を受診しても解熱剤を処方され、経過観察してくれと言われるのも...。施設側からすると、なぜ熱が出ているか原因が分からないのは不安です。「高齢者だから仕方ない」「このまま様子をみて」などの安易な返答は、とても困ります。椎木:電話の折り返しがない、事務から医師に話がいっていないことがたまにあります。その間、具合の悪い入所者を放置してしまうことになってしまいます。
質問③クリニックとの連携において気を付けていることは。
和田:入居者の体の異変を早く発見し、医療機関に正確な情報を伝達し、的確な指示をいただくことに留意しています。
質問④入居者がよりよい医療を受けられるために医師に求めることは。
中山:最先端医療よりも施設の相談に親身に乗ってくれる方が施設側からするとありがたいですね。椎木:以前、医師に名前を間違えられた入所者がいます。医師は軽く謝罪したようですが、入所者は、私に「医者を変えてくれ」と言いに来ました。医師にとっては、たくさんいる患者のうちの一人かもしれません。しかし、高齢者にとって、医師は崇高な存在です。その分、何気ない言葉ひとつで、うつになる人もいます。相手の目線に立った対応ができる医師が望ましいですね。