東徳島医療センター 木村 秀 院長

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行動して〝目に見える理念〟に

1978 徳島大学医学部医学科卒業 同第2外科入局 1979 高知赤十字病院外科 1980 徳島県立中央病院外科 1981 香川県立白鳥病院外科 1982 徳島大学医学部第2外科 1984 国立療養所徳島病院外科 1985 健康保険鳴門病院外科 1990 徳島大学医学部第2外科講師 医学博士 1991 小松島赤十字病院外科副部長 1992 同第3外科部長 2003 徳島赤十字病院第1外科部長 2016 国立病院機構東徳島医療センター院長

 この4月に院長として赴任した木村秀院長。

 「院長は初めての経験。ようやく大学などへのあいさつ回りが終わったところです」と言う木村院長に、今の思いを尋ねた。

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 東徳島医療センターは私にとって、32年間使われた板西(ばんざい)療養所という名前のほうになじみがあります。医学生だったころ、内科に入局したての兄に誘われて、板西療養所の重症心身障害児施設を見学したことがあり、縁を感じました。

 これまでは外科医に専念していればよかったのですが、院長になると頭を切り替えなければならないところが多々出てきます。今は少しずつ慣れている状況ですが、私が職員に伝えたいのは、理念を自分の動きにするということです。

 どの病院にも理念が大きく掲示してあります。でもそれが職員の動きになっているでしょうか。理念は職員の実践として目に見えるものにしなければなりません。その意味では、事務職も医療者も、ほかの職務の人も、同じ仕事をしているという意識がなければ、理念は輝かないですね。

―東徳島医療センターの役割は。

 JR板野駅は急行が止まりますし、高松自動車道と徳島自動車道のインターチェンジが近くにありますから、立地条件は非常にいいです。

 この病院は、政策医療のうち重症心身障害と結核を扱い、一般診療としても11の診療科があります。国立病院機構としては中小の一般的な病院で、周辺に開業医が少ないため、中核的な病院としてこの地域を支えています。ただし夜間の救急は、近くの県立中央病院が3次救急をやっており、体制ができていますから、そちらが引き受けてくれています。

―これからの医療はどうなりそうですか。

 昔は1人の医者が1人の患者さんの全部を診ていました。でも今は、内科だけでも7人の医者が必要になり、医師不足で対応が難しくなります。それと、高齢の患者さんを処置しても帰るところがないケースが増えます。そこが大きなジレンマです。私はずっと急性期にいましたが、当センターのような、ゆっくり患者さんを診られる病院がもっと必要になってくるでしょう。

―なぜ医師になろうと。

 50年近く経っても忘れられない先生がいます。

 中学3年生の時に倫理の授業があり、講義をされたのは神風特攻隊の生き残りで、戦後、残りの人生を教育にかけようと思われた方でした。

 教科書も使わず試験もせず生徒と議論を進める、当時としては革新的な授業でした。その時に私は自由、あるいは規則の本当の意味を知り、命は大切なものという教えが心に残り続けていました。

 そんな折、場末の映画館で「赤ひげ」という黒澤明監督のリバイバル作品が上映されていました。入場料が安かったので、ふらっと入ったのを覚えています。

 老医師が貧しい患者のために活躍する内容で、根底に命の貴さが貫かれており、倫理の講義と映画がシンクロした気がして、本心から医師になりたいと思ったのです。あの授業がなければ私は医師になっていなかったかもしれません。

―医師を続けてきて心中に去来するものは。

 いまだに宿題を抱えているような気がします。子どものころ祖父母の死に接して、人はどうして死ぬのかとずっと考え続けています。あるいはターミナルの患者さんに、医師としてよりも人間として、言葉じゃない部分で寄り添ってあげているかどうか。緩和ケアの患者さんには医療の話より、普通の会話のほうがうちとけてもらえます。こちらの気持ちをどう患者さんに近づけるか、そこがまさに、目に見える理念だと思うのです。

―若い医師に助言があれば。

 徳島赤十字病院にいる時に若い先生方に言っていたのは「志の大切さ」でした。そこを基本に据えることが大切です。医者というのは、職業ではあるけれども、一般企業での仕事とは違うわけです。「なぜ医者になったか」。そこに絶えず立ち返って自分を磨いてほしいと思います。

独立行政法人国立病院機構
東徳島医療センター

徳島県板野郡板野町大寺大向北1丁目1番
☎088・672・1171( 代表)
http://www.etokushima-mc.jp/


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