倉敷中央病院 山形 専 院長

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安全・質・効率化を目指して

茨城高校卒業 1975 金沢大学医学部卒業 同年京都大学医学部附属病院脳神経外科医院(研修医)1979 米国アリゾナ州フェニックス・バロー神経学研究所(~ 1981)1996 倉敷中央病院脳神経外科部長 2010 京都大学医学部(脳神経外科)臨床教授(兼務)2014 倉敷中央病院副院長、脳卒中科主任部長(兼務)2016 同院長

 大原美術館や美観地区で知られる岡山県倉敷市。ここには、今年3月、近畿・中四国地方の病院で初となる国際的な医療機能評価(JCI)の認定を取得した倉敷中央病院がある。4月に就任した山形専新院長に同院の取り組みなどについて話を聞いた。

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―概要や歴史を。

 1923(大正12)年に開設し、今年93年目を迎えます。創設者は地元出身で倉敷紡績(現クラボウ)社長だった大原孫三郎。大原美術館も開設した実業家です。

 大原は「治療本位」「病院くさくない明るい病院」「東洋一の理想的な病院」という先進的な考えを持って病院建設に取り組みました。われわれはその精神を引き継ぎ、①患者本位の医療②全人医療③高度先進医療という3つの基本理念を持って患者さんに対応しています。

―今年3月には、国際的な医療機能評価JCI(Joint CommissionInternational)の認定を受けました。取得の目的や効果は。

 JCIは、医療分野における国際版第三者評価機関で、本部はアメリカです。患者さんの安全や医療の質向上を世界基準で審査し、世界中の医療機関に適用される国際規格。現在、日本国内で18施設(2016年4月4日現在)が認定されていますが、近畿・中四国地方の病院では当院が初となりました。

 取得に向けて動き出したのはちょうど3年前です。当院の職員は約3千人、組織が大きくなるにつれて縦割りとなり、セクショナリズム(部局割拠主義)が少なからずありました。

 「これではいけない」と感じていた幹部が、全職員が一緒に何かに取り組めば、意識のベクトルが同じ方向に向き、一体化すると考えました。結果、JCIの取得を目指すことになったのです。認定を取得する目的というよりは、その過程が大事でした。また、「患者安全」「医療の質」「医療の効率化」が向上するとも考えました。

 審査は患者さんの視点から見た外来、入院、退院、機材、管理、防災などの14分野で1146項目あります。

 今年3月初めにアメリカ、ブラジル、パキスタンの医師や看護師ら5人の審査官が来日して受審しました。診療を行っている中、彼らは自由に院内を行き来してチェックしていました。もちろん、われわれには当日の審査の内容は事前に知らされてはいませんでした。

 審査翌週に認定の知らせを受けた時は本当にうれしかったですし、感動しました。院内全体の業務の見直しにもつながりましたし、職員も達成感と満足感を得て、自信につながったと思います。

 認定後、職員にアンケートをとったところ、多くが「やって良かった」と答えました。認定の更新の審査は3年後、今回、改善活動のシステムの形はできましたので、それをよりレベルアップし続けたいと思います。

―ハード面も注目され見学も多いそうですね。

 人口約47万人という地方都市の急性期病院ですが、病床数1161床という規模は大学病院を除くと民間病院としては全国一です。1日に訪れる外来患者数は約2800人、救急搬送後に入院した患者さんは全国でもっとも多くなっています。

 地政学的な面でみますと、倉敷市周辺には、急性期の大型病院は当院と川崎医科大学附属病院の二つだけで、私立の倉敷成人病センターを加えた三つの病院が、約70万人の岡山県南西部医療圏の急性期患者約7割を受け入れています。

 この20年間で、当院は大きく成長しました。医師の数は2・5倍、それ以外の職員も1・5倍に増やして、地元の皆さんに充実した医療を提供しています。

 背景には、地域連携による患者さんの増加があります。市民向けには、「わが街健康プロジェクト。」という企画を進めており、行政や倉敷市を中心とした18病院と連携しながら、地域完結型医療と健康をテーマにした講演会など市民への情報発信を行っています。

 また、地域医療機関との連携も密です。すべての診療科で連携していますが、特に私の専門である脳血管疾患では、2008年に「地域連携パス」を作り、市内の医療機関と一緒になって一人の患者さんを診るシステムを構築しました。

 年3回は、地域医療機関の医師ら担当者と会議を行います。各医療機関の医師、看護師、リハスタッフが、当院のカンファレンスに参加することもめずらしくなく、急性期の治療後、スムーズに地域の医療機関に患者さんを転院させることができます。

―医師の確保は。

 地方都市は医師が来ないと言われていますが、当院は、2001年に独自の研修医制度をつくり、いちはやく医師確保に力を入れ始めました。

 特に、医師の教育には時間も手間もかけています。「人材開発センター」という専門の組織が教育にあたり、研究の仕方や論文の書き方もきめ細かに指導します。学会についても、必要に応じて病院負担で参加させます。

 環境も重視しました。24時間利用することができる図書館を設置。職員専用食堂やホテルのような当直室もあり、見学すると、みなさん「ここで働きたいなあ」と言ってもらえます。

 おかげさまで、昨年は、初期研修医の採用試験では全国各地から前年比約2倍の応募がありました。

―課題は。

 予防医療から在宅医療・介護までの連携を視野に入れた地域完結型医療の推進を図るため、現在の健診センターを新しくする計画があります。

 市民の健康寿命のためには、待つ医療から、攻めの医療、つまり、病気になる前に、積極的に予防することが大切なのです。すでに隣接する場所に土地は確保し、計画では2年後の完成を目指しています。現在の2倍程度の規模の施設を考えています。

公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構
倉敷中央病院

岡山県倉敷市美和1丁目1番1号
☎086・422・0210(代表)
http://www.kchnet.or.jp/


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