大阪労災病院 田内 潤 院長

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時代が求める医療を追求 大阪労災病院 2021年に新病院へ

土佐高校卒業 1975 大阪大学医学部卒業 1975 大阪大学医学部附属病院研修(第1内科、特殊救急部) 1976 桜橋渡辺病院循環器内科勤務 1978 大阪大学医学部第1内科研究生 1992 大阪大学医学部講師1993 大阪労災病院循環器内科部長、大阪大学医学部非常勤講師併任1997 大阪労災病院内科部長 2004 大阪労災病院副院長、大阪大学臨床教授 2013 大阪労災病院病院長

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治療と就労の両立支援

 大阪労災病院という名前が示す通り、当院は勤労者のための医療という政策医療を原点に、労働福祉事業団法に基づいて全国で27番目に設立された病院です(1962年開設)。

 1950年代から70年代にかけて、堺市沿岸部を中心に堺泉北臨海工業地帯が整備され、それにともなう労災事故が多発したことがきっかけとなって、地元の誘致を受けて建てられました。

 「労災」と名前はつくものの、時代によって病院に求められているものは変化しており、現在はがん診療の比重が大きくなっています。

 当院は堺市2次医療圏で最初の厚生労働省指定「地域がん診療連携拠点病院」です。がんの予防、診断、治療に積極的に取り組みつつ、医療圏内の各医療施設と連携ネットワークを構築してきました。がん治療の、とくに外科系については、有数の手術数(年間約13000件)を誇ります。

 がん患者の増加を受け、最近では「がん治療と就労の両立支援」が労働者健康安全機構全体のテーマになっています。機構全体では2年前くらいから検討が始まっていますが、当院では以前から労災疾病等研究から眼科領域においてこれらに対する問題意識を持ち、取り組んでいました。

 糖尿病の合併症として網膜症で硝子体手術を行います。しかし、手術で見えるようになったとしても糖尿病は一生続く病気ですので、なかなか職場復帰することができないのです。

 あるいは、仕事が忙しいなどの理由から治療が中断することもあり、その時点で最良の治療を行ったとしても、それだけでは患者さんを救うことができないことがわかってきました。これは、たとえばがん治療に関しても同じことがいえるわけで、治療と就労の両立のためにはなんらかのサポートシステムが必要なのです。

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メディカルサポートセンター内の「なんでも相談室」では、標準的な治療法に関する情報提供を行い、セカンドオピニオンについても相談を受けつける。退院後の連携先を探すために同院医師が利用することもある。センターに併設するがん相談支援センターでは患者の交流の場として「がんサロン陽だまり」を不定期開催している。

 これまでは、がんになると患者さん自身やご家族の方が単独で動いて自力で情報を集め、さらに独力でアプローチしなければなりませんでした。そういった細かなことをサポートし、担当者に任せておけば患者さんが必要とするサポート体制を構築してもらえるようなシステム作りが必要になると思います。

 かつて、がん治療は「手術で完全に切除できたら治る。失敗したら5年生存率も低い」という時代がありました。しかし現在は、アドバンスステージ(進行期)であっても抗がん剤治療を行ったり、放射線治療で病気とつきあいながら生活できるようになっています。

 乳がんなどはその典型ですが、縮小手術を行って抗がん剤治療を併用するとか、あるいはその逆だとか。そうすると治療は長期間続くことになりますので、治療にパワーを使いすぎると仕事に支障が出ます。病院として、両立をいかにサポートするか考える時代になりました。

 このサポートを医師や看護師が行うのは少し難しいと考えています。もっと社会に目を向けられる立場の医療者がふさわしいので、おそらくMSW(医療ソーシャルワーカー)が適任だと思います。

 そういう方が中心になって、患者さんの勤務先の産業医や主治医、手術を担当した医師などと情報を共有して患者さんを支えるシステムを構築したいですね。

病院新築計画

 入院日数の短縮化のためにも、今後は地域連携がさらに重要になるでしょう。単独ではなく、地域の病院群と連携しながら地域完結型医療の中核を担う病院になりたいと思います。

 それと関連して、2003年にメディカルサポートセンターを立ち上げました。全国的にみても早かったと思いますが、看護師を8人、MSWを5人配置して、ここでは患者さんに限らず誰の相談でもすべて受け付けるといういわゆるワンストップ型の体制をとっています。地域連携に関していえば、退院後の連携先について、ドクターが問い合わせることもできるわけです。

 ちょっと先の話になりますが、2021年をめどに病院を新築します。現在のベッド数678床は変えず、急性期医療を担う手術や検査部門を充実させる計画です。

 当院の最大の特長となる、大阪府内でもベスト3に入る手術件数、求められる高度な急性期医療を担うため、手術室を現在の12室から16室に増やし、必要であればさらに増室できる構造にします。

 また、1962年に建設されて以来増改築を行っていませんので、インフラ設備が時代に対応していません。新病院では医療資源を最も効率的、効果的に活用できるよう最新のインフラ設備を導入し、変化し続ける医療環境に対応します。

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独立行政法人 労働者健康安全機構
大阪労災病院

大阪府堺市北区長曽根町1179番地3号
☎072・252・3561(代表)
http://www.osakah.johas.go.jp/


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