米の山病院 崎山博司 院長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

独居、貧困、認知症 地域の問題に向き合い続ける

熊本県立熊本高校卒業 1987 九州大学医学部医学科卒業、医療法人親仁会米の山病院入職1995 土浦協同病院で循環器科研修 1998 国立佐倉病院で腎臓内科研修、医療法人親仁会米の山病院帰任 2004 医療法人親仁会米の山病院副院長、循環器科科長、総合診療統括部長 2016 米の山病院院長

 医療法人親仁会の米の山病院は、1955年、「医療が受けにくい人のために」と設立された私設の医院がはじまり。1959年から の「三池闘争」では、労働組合側を医療の面から支援した歴史も持つ民医連(全日本民主医療機関連合会)加盟の病院だ。6月、崎山博司院長が就任。今後に向けて、話を聞いた。

k10-1-1.jpg

地域のための病院地域に支えられた病院

 地域の患者さん、住民の方々に、できるだけ寄り添う病院にしたいと思っています。

 この病院は、地域の方々に支えられてきた歴史があります。開設当初は、水田医院という個人開業の医院でしたが、地域の方から出資を募り、病院を建設したり、高価な医療機器を購入してきた経緯があるのです。今年3月に完成したこの新病院も、何億円というお金を皆さんからお借りして建設しました。

 地域の方々の応援があっての病院ですので、気軽に来ていただける病院でなければと思います。

この病院を運営する医療法人親仁会には、共同組織の「健康友の会」があります。エリアごとに、荒尾、不知火、ふるさと、と分かれた各友の会は、独自に班会を開き、健康についての学習会や検診、サークル活動など、地域の要望を取り入れながら、活動されています。

 当院の医師などが班会に出向いて梅雨の生活の注意点や、熱中症の予防方法など、簡単な話をすることもありますし、事務局的な仕事は、当病院の職員が担っています。

 班会では、病院に対する意見や批判なども聞かせていただき、病院運営に生かしています。

 当院がある大牟田市を含む有明地方は、人口減少が進んでいます。そして「独居」「貧困」「認知症」の三つが、地域の大きな問題になっています。

 救急車で搬送され、治療を終えて退院されても、またすぐに救急搬送されてくる。糖尿病で治療を受けていたけれど、経済面を理由に続けられなくなる。そんな方がけっこういるのです。

 住む家がない、いわゆる「ホームレス」ではありません。でも、古い家に、ぎりぎりの状態で生活している。衛生的でない場合もありますし、危険な場合もある。そこには、多くの病気が潜んでいるのです。

 しかも、そういった方々は、家族との交流が途絶えたり、社会的交流を避けたりする傾向もあります。

 私たちは、その方々ができるだけ医療機関と離れないようにし、手助けをしていきたいと思っています。当院では保険証を持っていない方や医療費の支払いが困難な方を対象とした「無料低額診療事業」も実施しています。そういったものを利用していただき、フォローもしながら地域の方の健康を維持していきたいと思います

新病院完成歯科患者も増加

 今年春、すぐ近くの場所からこちらに新築移転しました。

 旧病院のころは、近くにあった当法人運営の歯科診療所を、新病院では、院内歯科にしたのが、まず大きな違いです。

 高齢者は歯の疾患が多く、嚥下(えんげ)性の肺炎もかなり多く起こります。口腔ケアは欠かせないのです。院内歯科になったことで、患者さんをトータルに診ることができますし、入院中に歯科を受診することも容易になりました。

 一般的に、歯科クリニックで送迎をしているところは、あまりありませんよね。当院の歯科に来る場合はこの病院の送迎ワゴンを利用できます。そのため、交通手段のない高齢の方などが、当院の送迎を使って歯科に来院するようになりました。以前の歯科診療所には通っていなかった新規の患者さんも、増加しています。

技術の更新、向上で地域の信頼を

 当院が積極的に診ているのは、循環器と消化器の疾患です。循環器では、心臓カテーテル治療のPCI(冠動脈インターベンション)、ペースメーカーなど、消化器では早期がんに対するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)も始めています。

 今後は、現在の診療内容を継続すると同時に、技術の向上、医療面の向上が必須だと思います。そして、それが皆さんの信頼を得ていく方法だとも考えています。

 当院の医師は、大学からの派遣はほとんどいません。自分たちで研修医を育て、その人たちが常勤医となって、この病院を支えていくという構図ができています。

 病院は、技術の更新や革新がないとやっていくことができません。多くの医師に専門研修に行っていただき、知識や技術を身に着けて戻ってきてもらう。それを積み重ねながら、レベルアップを図っていきます。

 今は、久留米大学病院などの高度医療機関に研修に出しています。医師の技量の向上を基本に、さらにはそのほかのスタッフにまで、広げていきたいと思います。

 当院では、未来の医療者を育てる活動や、また看護師不足の対策にも取り組んでいます。

 看護学校や大学の看護学部に入る前の高校生が1年を通して病院でボランティアや看護体験をするプログラムもあります。また、医師や薬剤師を目指す高校生の病院見学や看護学生の実習も受け入れています。

 早い段階での現場での体験は、モチベーションを高める良いきっかけになると考えています。

k10-1-2.jpg

医療法人 親仁会
米の山病院

福岡県大牟田市歴木4番地10
☎0944・51・3311
http://www.kome-net.or.jp/


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る