一般財団法人 日本尊厳死協会 理事 白井 正夫

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リビングウイル時代⑨自宅死、地域で大差の心細さ

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 細君は、近所の内科クリニックの女医さんとは20年来「患者と医師」の付き合いである。最近気づいたのだが、どうも女医さんのもとに、他の病院でかかった医療情報も寄せているようなのだ。循環器系で定期診療を受ける大病院、MRIを受ける脳神経科専門クリニック、消化器系の内視鏡検査をするクリニックである。

 診療データCDをもらい自分で女医さんに運んでいたが、専門医に女医さんのことを伝えて、今では細君を通して互いが〝会話〞している。女医さんから「S病院のT先生からメールが...」と言われて、細君はすっかりご満悦の様子。

 女医さんを中心に「自分で〝仮想総合病院〞を構築しているようだ」と茶化したら、「これからは、それくらい自衛しないとね」と真剣だった。

大きなまちでも自宅で最期3倍差

 医療自衛? 住民がそれを考えなければならない「わがまちのデータ」が7月初め、厚生労働省から発表された。全国1741市区町村の「自治体別在宅死の割合」である。病院でなく、自宅で最期を迎えられる割合は、国が取り組む「在宅医療推進」の象徴である。その「在宅みとり」の割合が地域で大差があるというのだから心細い。

 2014年人口動態調査で死亡場所の全国平均は、自宅12・8%、病院75・2%、介護福祉施設7・8%。自治体の規模で医療供給体制は異なるので、人口別に比較集計が出ている。

 人口20万人以上で「自宅死」の割合は神奈川県横須賀市の22・9 % がトップで、低い方には北九州市8・7%、鹿児島市8・0%が並ぶ。まちによって3倍の差がでている。

 概して首都圏が高い傾向がみられたが、地方でも「在宅医療」の取り組みの差が表れた。本欄の④「在宅医療推進にこそLW」で紹介した、合掌造り集落(世界遺産)で知られる岐阜県白川村は43・3%と半数近くが自宅で最期を迎えていた。数年前、白川郷を舞台にしたドラマ「家で死ぬということ」がNHKテレビで放送されたが、ドラマの世界だけでなかった。

患者の意思尊ぶ医師取り組み進む横須賀市

 団塊世代が75歳以上になる2025年の医療供給体制を示す「地域医療構想」がある。全国医療機関のベッド数はこれから徐々に減り、10年後には現在の1割( 16万床〜20万床)減となる。その代り自宅や介護施設などで在宅医療を受けながら療養する高齢者が30万人〜34万人増える。

 在宅医療の需要は確実に増大するのに、「わがまち」の医療供給、特に在宅医療供給体制は大丈夫なのかと心配になる。さて、末期がん患者の在宅ケアに取り組む医療機関のネットワークに日本在宅ホスピス協会がある。

 大都市で「自宅死」がトップだった横須賀市は、人口41万人に対しネットワーク加盟医療機関が7施設。私が住む横浜市が人口373万人に25施設だから、人口比では横浜の2倍以上の在宅みとり供給体制が整っていることになる。

 数字だけの単純比較でものをいうのは慎みたいが、横須賀市には日本尊厳死協会に登録した「LW協力医師」が6施設7人(ネットワークと重なる医師も)いることも付け加えておきたい。在宅みとりだけでなく、「患者の意思を尊重する医師」の多いまちである。

■一般財団法人日本尊厳死協会
東京都文京区本郷2の27の8の501
☎03・3818・6563


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