福岡腎臓内科クリニック 平方 秀樹 院長

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透析患者の平均余命を一般の人と同程度に

佐賀県立佐賀西高校卒業 1976 九州大学医学部卒業、九州大学医学部第二内科入局 1978 第二内科腎臓研究室へ配属 1986 米国クリーブランド・クリニック留学 1988九州大学医学部第二内科 1993 九州大学医学部附属病院腎疾患治療部助教授 2006 福岡赤十字病院腎臓内科部長・副院長 2016 医療法人医心会福岡腎臓内科クリニック院長

 医療法人医心会福岡腎臓内科クリニックは、1966(昭和41)年、医療法人医心会福岡胃腸心臓クリニックとして開院した。4月に就任した平方秀樹院長に、同クリニックの歩みや特徴を聞いた。

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■検診クリニックから透析療法の実践の場に

―当初から透析のクリニックだったわけではないのですね。

 「福岡胃腸心臓(胃心)クリニック」は九州大学の第三内科の医師が中心となって開設しました。

 当時は、胃がんや心臓病が問題になり始めた時代。それを背景に、胃透視検診と心電図で一般社会人の健康診断をする施設として始まりました。慢性透析療法はまだ始まったばかりで、透析療法、特に血液透析の開始で、「ひょっとしたら、長期の生存が可能になるのではないか」と期待され始めたころでした。

 とはいえ、まだまだ透析患者自体は少なく、末期腎不全になった方の多くは尿毒症になり、亡くなっていました。しかし、1967年に透析が保険収載されたことで、慢性透析療法は普及し始め、国内の透析患者が一気に増えていきました。

 やがて胃透視も心電図も、医療機器の進歩とともに普及し、福岡胃心クリニックの検診も特別なものではなくなっていきました。では、このクリニックで次に何をするのか、という問題になり、透析を始めることになったのです。

 そのころ、先代の院長である藤見惺先生が、アメリカから帰国され、慢性透析療法の実践の場を探していました。

 藤見先生は、米国で腎臓内科専門医を取得して帰国され、九州大学第二内科に腎臓研究室を創設。その後、福岡赤十字病院(福岡日赤)に腎臓移植までが可能な腎センターを設立された方です。

 研究室を立ち上げたころ、慢性透析療法の実践の場を探していた藤見先生と、胃心クリニックとのタイミングが合い、1974年、胃心クリニックは、九州大学医学部第二内科腎臓病研究室のサテライトクリニック、すなわち慢性維持透析療法を実践する場としてスタートを切ることになったのです。

 その後、研究室の若い医師が、およそ1年交代で所長として赴任して〝慢性〞透析療法を実地に学びました。

 透析時間は6時間。患者さんには、塩分制限、水分制限などかなり厳しく指導し、開設7年後まで患者さんは一人も死亡せずに経過しました。代々の所長には大きなプレッシャーがかかっていました。

 そのような経緯もあり、ここは、一般的な開業の透析クリニックと意味合いが若干違うのです。

 そして2001年、藤見先生が福岡日赤を退職されて院長に就任されたのをきっかけに、福岡胃心クリニックは福岡腎臓内科クリニックと改名され今の形になったのです。

■ゆるやかに是正それが長時間透析

―クリニックの特徴は。

 わが国の透析療法の治療成績は世界一を維持しています。その中でも、当院の治療成績はかなりいい。45年以上、透析治療を続けている人もいらっしゃいます。

 理由は、1回の透析時間が長いからです。国内の透析時間を見ると、東京では平均3〜4時間。九州は、藤見先生の影響で長く、平均5時間です。

 このクリニックでは6時間の透析時間を徹底した結果、QOLを維持したまま長期間生存することが可能だということを明らかにしました。

 慢性透析患者は、末期腎不全。通常は、体の中の水、塩、カリウムなどの量はすべて腎臓によってコントロールされますが、その力が失われた状態です。

 塩、カリウムなどを拡散原理によって除去するのが透析で、過剰な水分は、ろ過圧をかけて除水します。これらをたった6時間ほどで是正するのです。

 体の中に起きていることを急激に変化させるのは、よくありません。体に起こる変化はゆっくりすればするほど無理がなくていい。通常は、腎臓が24時間365日している仕事ですから、変化の是正は小さいほうが、体にとっては楽。それが長時間透析です。

 最近は患者さんの要望もあり、少し透析時間を短くして5・5時間などでもしていますが、本来は、6時間、8時間かけたいものです。最近は、夜間、寝ている間に8時間かけて透析をするクリニックも出てきています。

■高齢化を背景に増加し続ける透析患者

―透析患者の増加が言われています。

 かつては500人に1人と言われたころもありましたが、今は250人に1人が透析患者です。

 以前は、透析導入患者の原疾患は腎炎、腎硬化症が多かったのですが、今は糖尿病性腎症の人がもっとも多い。腎硬化症も増えています。そのほかでは、腎盂腎炎、先天性の多発性のう胞腎などが主要な原疾患になっています。

 患者数増加の背景に高齢化が重要な問題としてあります。当クリニックの患者さんの年齢層をみると平均は67・5歳。中央値は70〜80歳です。

 家庭透析という方法もあります。当クリニックにはいらっしゃいませんが、私がこの春までいた福岡日赤でも3人の方が自宅透析をしています。

 センター透析は、週に3日6時間、などと頻度や時間が制限されますが、家庭透析では、週に5日6時間以上など、自分に合わせたペースで透析ができますから、元気な患者さんが多いですね。

■余命延長とQOL向上を目指して

―今後、目指すところは。

 今、女性の平均寿命は86・83歳。男性は80・50歳です。

 透析患者の平均余命は、各年代、一般の人の半分ほどしかないとされています。60歳の人の場合、平均余命が20年あるところが、透析患者は10年しかない、ということです。

 透析療法の目指す究極の目標は、平均余命を一般の人と同じ程度まで延ばし、QOLを保つこと。そのためには、透析アミロイド症やロコモティブシンドローム、frailty(フレイルティー=高齢者が筋力や活動が低下している状態)などを、可能な限り軽減することです。

 当院ではOn-line HDF(Hemo dia filtration)などを、長期透析患者さんの合併症の予防と治療に適用しています。目標達成はなかなか難しいとは思いますが、クリアできるかどうか、この福岡腎臓内科クリニックで確かめてみたいと思っています。

医療法人 医心会
福岡腎臓内科クリニック

福岡市中央区渡辺通4丁目6番地20号
☎092・761・4936
http://www.fukuoka-renal-clinic.jp/


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