愛媛大学大学院 医学系研究科 肝胆膵・乳腺外科学講座 高田 泰次 教授

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手術の難しさが肝移植の魅力「論理的で科学的思考のできる医師になってほしい」

私立洛星高校卒業 1983 京都大学医学部卒業同附属病院勤務 1984 福井医科大学医学部附属病院勤務 1985 都志見病院外科 1992 日本学術振興会特別研究員 フランス国ストラスブール大学留学 1995 筑波大学臨床医学系消化器外科講師2006 京都大学大学院肝胆膵移植外科准教授2009 愛媛大学大学院医学系研究科外科学講座教授 2015 同医学専攻長および医学部医学科長

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―医学科長も兼任されています。

 医学科としての使命は、まずは学生を国家試験に合格させることです。さらに、日本の国際化の一翼を担うために、アジアを中心として学生間の交流が始まっていますが、学術交流も進めたいところです。

 今は小児循環器の医師が、定期的にモンゴルを訪れ、診療や指導をしていますから、移植医療もそうなればと思います。

 もうひとつの使命は、地域医療に貢献してくれる医師を一人でも多く輩出することです。入試における地域枠はだんだん増え、現在は年間20人です。去年初めて地域枠学生が卒業し、現在初期研修の2年目です。彼らが地域に残ったとしても、どの診療科に進むかです。地域間の偏在もあるし、診療科間の偏在もあるわけです。私は外科医ですから、そこに特に関心があります。地域の救急を担っているのはほとんど外科医ということもありますから。

―大学に残った理由は。

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 専門は肝胆膵外科、そして肝移植です。大学院で肝移植を研究し、それを続けたかったのです。でも実際の分かれ目は、大学院修了後に助手を命じられた時ですね。それ以降、筑波大学に行ったり京大に戻ったりと、何となく大学勤務が続き、その積み重ねで今日があるわけです。

 肝移植は医療として興味深く、肝臓の機能もいろいろあって面白いし、手術も非常に複雑です。いろんな臓器移植がある中で、手術手技としてはもっとも難しいですね、肝移植は。

―どんな難しさが。

 ひとつは病気の肝臓を取り出し、スペースをつくってそこに新しい肝臓を入れるところ。取り出す操作がとても難しいのです。もうひとつは血管などをつなぐところです。肝臓は、静脈、門脈、それから肝動脈、胆管という4種類の脈管をつながなければいけない。しかも非常に細いですから、技術的に高度なテクニックがいります。そこが面白いと思って取り組んできたのです。

 今、研究しているのは、生体肝移植はドナーの負担もありますから、死体肝移植をどう増やすかということです。方策のひとつに、脳死ではなく、心停止ドナーというのがあります。ヨーロッパでは死体肝移植の20%くらいが心停止ドナーです。

 典型的な例を挙げると、完全な脳死ではないが、臨床的にはほぼ回復の望めない脳死状態の場合、心臓が動いている状態で臓器を摘出できません。だから親族の了解を経て人工呼吸器などのサポートを止めてしまうわけです。するとほとんど脳死に近いわけで、自発呼吸できないから心臓が止まる。そのあと、ある一定の時間を置いて死亡宣告してから摘出する方法です。日本でも腎移植は心停止移植がすでに行われていて、肝臓のほうもやるようになれば、提供臓器は増えるでしょう。ただその時、心臓が止まって循環が停止することによるダメージがありますので、移植する肝臓の機能としては低下する危険性があります。それをいかに保護するか、この研究を大学院の時からやっています。

―日本の移植は世界でどのレベルにありますか。

 肝移植に関していえば、脳死ドナーが少ない中で、生体肝移植は、1990年くらいから2000年代に、世界をリードするくらいに進んだわけですね。今でも日本全国で年間400から500例の生体肝移植が行われています。いわゆる成人間の生体肝移植が7割ぐらいを占めていて、保険診療として認められ、一般医療として定着しています。日本の総数では7000人以上の人が生体肝移植を受けています。脳死は少なく、年間50例くらい。こちらも保険診療ですから、特殊な医療ではありません。

―今後の抱負を。

 われわれは、医師でありながら科学者であるのも間違いないです。だから私はアカデミックサージャンを目指しているし、若い人にもそう指導しています。単なる技術屋ではなく、論理的で科学的思考のできる医師をつくっていきたいと思っています。

―京都出身者から見た愛媛の魅力は?

 やはり温泉ですね。

 結構好きで、道後温泉など有名なところだけでなく、日帰りのスーパー銭湯みたいな温泉もいくつもあるんですよ。泉質も良く、値段も安いし、週末の楽しみになっています。

愛媛大学医学部附属病院
愛媛県東温市志津川454
☎089・964・5111(代表)
https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/


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