神戸大学医学部附属病院 藤澤 正人 病院長

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6つの基本理念を胸に新時代の大学病院を築く

ふじさわ・まさと ☞ 兵庫県立姫路西高校卒業、神戸大学医学部医学科卒業/ 1989 神戸大学大学院医学研究科(博士課程)修了 1992神戸大学医学部附属病院 助手 2001 神戸大学医学部附属病院 講師 2002 川崎医科大学 教授 2005 神戸大学大学院医学系研究科 教授2008 神戸大学大学院医学研究科 教授(現在に至る)同年、神戸大学医学部附属病院 副病院長 2014 神戸大学医学部附属病院 病院長

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―政令指定都市にある大学病院としての使命は。

 神戸大学医学部附属病院は、関西地区において先端的医療を担っている中核病院のひとつであり、さらには大学病院、特定機能病院としてその使命である教育、研究、診療の3つをバランスよく遂行していかねばなりません。

 我々の基本理念は、①患者中心の医療の実践、②人間性豊かな医療人の育成、③先進医療の開発と推進、④地域医療連携の強化、⑤災害救急医療の拠点活動、⑥医療を通じての国際貢献、の6つであり、病院の方針はすべてこの基本理念をもとに決定し、遂行されています。

 これらのうち現在、特に重視していることがありますが、そのひとつが先端的医療を推進するための臨床研究の推進とその体制の整備です。病院として医療法上の臨床研究中核病院の承認を目指し、先端的医療の開発・推進が円滑に行えるよう現状の臨床研究推進センターの改革・整備を行っています。

 センターの整備とともに今後は、大学病院として診断・治療に関する前向き臨床研究はもちろん、新規薬剤や医療機器などの開発にも力を注いでいかなければなりません。産学連携、学内における基礎医学領域との連携、医工連携を推進し、例えば新しい手術支援ロボットなどの大型医療機器から、手術用デバイスなどの小型機器まで幅広く開発に取り組み、「神戸発、国内初」の、実際に臨床現場で活用していけるような医療機器を開発していきたいと思います。また、すでに膝関節損傷に対しては、新しい再生医療を応用した治療の開発が行われてきており、さらなる展開が期待されています。

 一方、病院として医療安全体制を向上させ、患者さんに質の高い、安全な医療を提供することは最重要事項であり、日々体制強化に取り組んでおります。当院では医療の質・安全管理部を設置し、専任の特命教授を配置して、患者さんが安心して先端的、高度な医療を受けられように活動しています。

 また、地域医療連携に関しては、瀬戸内海側から日本海側まで広い兵庫県内に点在する数多くの地域病院に対して医療支援していくことも大学病院の使命です。

 県北部は医師不足が続いており、大学病院として医師の確保において支援するとともに、医学部入試枠において県と連携して、将来、主として地域での医療活動を担う医師を目指す地域入試枠を設け、地域医療に取り組む人間性豊かな医療人の育成に取り組んでいます。

 一方では、リサーチマインドを持って基礎・臨床研究のできる、そして先端的、高度な医療にも取り組める優秀な医師を育て、将来の医療界のリーダーになるような人材を生み出すのも大学の使命です。

 さらに、現在、専門医制度が変わりつつある中、学生時代から専門医まで一貫した教育ができるように総合臨床研修センターを中心とした教育・指導体制の構築にも努めています。

―先月以来、熊本と大分で大きな地震が続いています。

 神戸大学もすぐに医療支援団(DMAT)を派遣しており、第1陣の帰還と同時に第2陣を派遣しました(4月末時点/編集部注)。被害に遭われた方々に対しましては、心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興を願っております。

 1995年に我々の病院も阪神・淡路大震災を経験し、私はちょうどこの大学の古い病棟の7階で当直業務をしていましたが、縦揺れがすごく、身体が跳ね飛ばされるぐらいの感覚でした。

 誰も経験したことがなかった、予期もしなかった大震災でしたが、阪神・淡路大震災の甚大な被害と、たくさんの人命が失われた教訓をもとに、本学では災害・救急医学講座を中心に災害拠点病院として突然の災害に臨機応変に対応できるよう、さまざまな活動をしています。

―学生を指導する立場でもあります。

 学生たちに伝えたいのは、「目先のことにとらわれすぎないでほしい」ということです。自分なりに長期のビジョンを描いて、医師として、研究者として、どうキャリアアップしていきたいのかじっくりと自分で考え、それを常に意識することにより、「与えられてきた教育」から早く卒業してほしいと思います。

 そして、自分の将来は「自分でつかみ取る」という強い意欲をもってほしいと思います。将来を俯瞰(ふかん)したうえで、地道に努力し毎日を大切する、それを続けることによってきっと道が開けると思います。ぜひ、大学病院というところをうまく活用してリサーチマインドを持った臨床医を目指してほしいです。

―国立大学病院の経営基盤を安定させるのは難事業ですね。

 理念を実現するためのさまざまな取り組みを進めるにあたっては、やはり経営基盤の安定化が鍵になります。経営基盤の安定がなければ新たな投資もできませんし、新たな事業も進められませんので、堅実な長期計画、マスタープランの作成が重要です。病院経営企画室を中心に、さまざまな経営改革に取り組んでいます。

―今後、地域での大学病院のありかたは。

 すでに、地域医療構想2025の策定が始まっています。当院の基本は超急性期病院として医療提供をすることですが、すべての医療を大学病院だけで完結するのは難しいことですので、地域包括型の医療構想にうまく対応して、地域の病院と密に連携しながら、医療における最後の砦(とりで)として安全で、かつ先端的な医療を提供できるようにしていきたいと思います。

神戸市中央区楠町7丁目5-2 ☎ 078-382-5111(代表)http://www.hosp.kobe-u.ac.jp/


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