地域にたくさん発見がありました
医療・福祉の総合施設「宇部西FITタウン」は、宇部西リハビリテーション病院を中心に、グループホーム、介護付き有料老人ホームや通所リハビリ、訪問看護、訪問介護、デイサービスなど、包括的医療と介護体制の一翼を担っている。梶原浩司院長に状況を聞いた。
●暮らしやすい地域に
当院と関連施設には、一部の急性期、そして亜急性期、回復期、さらに慢性期から在宅まで、広い病期をカバーする機能がありますから、それを最大限に生かして地域医療に貢献したいと思います。国の推し進めている地域包括ケアシステムにも積極的に関わりながら、利用者や患者さんが暮らしやすい地域になればと思っています。
これから高齢化がいっそう進みます。宇部市近郊でも高齢化率は30%くらいだといわれています。今後、脳卒中やがん、肺炎など、高齢化に伴っていろんな疾患が増えてきますから、きちんと引き受けて在宅までお返しできるような機能を十分果たせるようになればと思います。
●リハビリは重要
病気を治しても、元に戻ったことにはならないんです。たとえば肺炎で1週間入院して、肺炎は治ったけれども1週間横になっていたら、高齢者は動けなくなります。
元の状態というのは、病気になる前の状態のことです。そこにリハビリの重要な役割があります。特に亜急性期では、変化しやすい病態をしっかり管理しながら、同時にあとの生活まで考えて、リハビリもやらなければなりません。また家に帰ってからも続けなければ機能の維持ができませんから、リハビリは最後まで必要だともいえます。
●たくさんの発見が
私は山口大学医学部附属病院で急性期の脳外科医を長くやっていましたので、機能回復とリハビリについて高い関心がありました。そしてここに来てたくさんの発見があり、また知らないことだらけでした。大学では急性期以降のことを見る機会が少なく、実際に来てみると、回復期、慢性期を支えてきた病院の努力、開業医の先生方の奮闘ぶり、家に帰っていただくためのさまざまな工夫、家に帰ってから地域でどのような支援があるのかなど、急性期しか知らなかった者からすればとても興味深く、学ぶことがずいぶんありました。
●幅広いサービスを
昨年12月に県の救急告示病院に指定され、今年4月から40床の地域包括ケア病棟も立ち上げました。訪問看護ステーションや通所系のサービスなどとの組み合わせで、さらに幅広いサービスを利用していただけるようになります。和同会という法人の中では、ここがモデルケース的な位置づけでもあり、うまくいったことはほかにも広げていこうと、理事長は考えられているようです。その意味からも、いろいろな試みをやらせてもらっています。
●後悔のない選択を
これまで医者を続けてこられたのは、患者さんが良くなって退院される時、感謝の言葉をいただけるからです。その言葉のためだけにやってきたようなものです。医者になってやりがいを感じている人はみんな同じだと思います。学生が医療者としてどの科に進むかを決める時、まずそのことを考えてほしいですね。そして他人の意見に惑わされず、本当にやりたい道に進めば、いろんな困難があっても後悔はしないと思います。