岡崎市民病院 木村次郎 院長

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求められている医療の提供と医療の質の維持こそが市民病院の使命です。
【 今秋、大規模な増改築工事が終了新機能で40 万超医療圏の充実を図る】

きむら・じろう 岡山県玉野市生まれ/愛知県立岡崎高等学校卒業、名古屋大学医学部卒業/ 1977 市立岡崎病院(現・岡崎市民病院)研修医 1978 同病院外科 1981 名古屋大学病院第2外科 1984 県立愛知病院外科 1986 市立岡崎病院外科 2007 岡崎市民病院副院長 2009 同院院長

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満床警報の鳴る病院

岡崎市は愛知県の三河地区の中心地であり、当院は岡崎市(人口38万)と南に隣接する幸田町(人口4万)の中核病院として、1998年に現在の場所に移転しました。近代・西洋医学の病院としては愛知県で2番目に古い歴史を誇り、1878(明治11)年に設立された愛知県公立病院岡崎支病院をルーツとして現在に至ります。

 人口約42万人の医療圏ですが、実は病院数が非常に少ないという問題を抱えています。本来、医療面で言うなら、岡崎市は中核市として周囲の町から患者さんを集めるような役割を果たすはずです。しかし、一般病床数でみると、全国平均が10万人あたり約700床、愛知県が約540床であるのに対し、岡崎市は約380床に達するかどうかというところで、全国平均の半分ほどにしかなりません。加えて、病院勤務医の数も全国平均の約半分ですので、中核市であるにもかかわらず、医療面では不十分な状態が続いてきました。

 もっとも、患者さんをたらいまわしにするような事態には陥っていません。どういうことかというと、要するに患者さんが岡崎市外へ流出しているのですね。現状では、4分の1くらいの患者さんが外へ流出して均衡を保っています。この医療実体は、これから地域医療構想を考えるにあたって問題になってくるでしょう。

 総合病院が当院だけということに加えて2次救急病院が少ないということも医療圏が抱える問題です。岡崎市はかつて7つの病院で輪番制度を行っていましたが、だんだん維持できなくなってしまって、現在は4病院になりました。といっても、すべての日の2次担当が埋まるわけではなく、1次と2次機能も含めてすべての救急を当院がこなしている面は否定できません。

 医療圏のこのような状況のなかで当院では数年前までは満床状態が続いていて、病床稼働率が98・9%という年もありました。そういう状態になった際には満床警報を全館放送していました。入院させたい患者さんをお断りすることは申し訳なく、この満床警報は非常にストレスのたまることでした。

4つの重点課題

 そんな背景のもと、今後、当院の機能をどう発展させていくべきかを考えたときに最優先されるのは、高度な重症疾患、救急疾患、難病、あるいは重篤な基礎疾患をもった患者さんの診療になります。その機能を果たすためには不十分な部分があるという反省がありましたので、4つの重点課題を挙げて2012年から増改築工事を行っています。

 課題の第1は満床状態の解消です。650床を715床まで10%増床しました。さらに、平均14日以上と長期化していた平均在院日数も短縮を図り、現在は12・3日程度まで減らすことができました。1割増床して平均在院日数を1割短縮することにより稼働率が82%まで低下しました。いざそうなってみると、経営的にはちょっと苦しくなった(笑)というのが現状ですね。

 2番目に重視したいのは、がん診療の充実です。近くにある愛知県がんセンター愛知病院は、がんについての先進的医療や緩和ケアを一生懸命やっていますが、頭頸部がん、婦人科領域、重篤な基礎疾患を持つがん患者などを診られないという問題があります。これまで放射線治療に関しては当院から愛知病院に紹介していましたが、今回放射線治療装置を導入しましたので、緩和ケアも含めて充実させていきたいと思います。

 3番目の課題としては救急疾患の充実を挙げたいですね。当院は、年間の救急搬送がドクターカーも含めると約9,600回にもなります。愛知県で2番目、全国的にも多い数ですが、その割に救急外来が手狭で経過観察がしづらかった。そこで、救急棟を新設し、15床の救急用ベッドを作って安全性の向上を図りました。

 最後の課題は生活習慣病です。生活習慣病とそれに起因する血管疾患、動脈疾患の充実を基本テーマとしました。高齢者医療などをみていると結局、血管が悪くなることによって長期化することが多い。血管が元気な高齢者は楽しい老後を送れるし、働く世代をみても生活習慣病対策は重要です。

 岡崎市の年齢別の人口分布をみると、いわゆる2025年問題というよりは2040年ごろが後期高齢者数のピークだと考えています。愛知県では今年9月に地域医療構想が策定され、正式な必要病床数が出る予定で、その後、他の医療機関と調整していくことになります。その際、2025年以降の医療需要も見据えつつ、当院に求められる医療を高い質を保って提供するのに何がどれだけ必要か、当院の規模と機能について慎重に見極めたいと思います。

岡崎市民病院
〒444-8553 岡崎市高隆寺町字五所合3番地1
TEL:(0564)21-8111(代表) FAX:(0564)25-2913


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