患者さんにどれだけ手を差し伸べるかで得られる信頼は違ってくると思います
趣味は読書のほかに登山、映画鑑賞。日本百名山は完登したという。もう一度登りたい山は北海道日高地方の幌尻岳。額平川の渡渉と頂上直下のカールが素晴らしいと話す。「最近の映画は時間がたつと、シーンが思い出せないものが多いですね」。
村上記念病院の地の利
当院は岐阜駅から徒歩10分以内という至便な場所に立地しています。
交通の便があまりよくない時代には利点だったと思われますが、現在のような車社会になってからは患者さんにとっては利点とは言えなくなりました。医療の原点である「安全性に配慮した質の高い医療の提供」なくしては患者さんに受診していただけないのではないかと思います。強いて挙げれば、県外で行われる学会出張など、当院に勤務する医師にとっては地の利があると思います。
地域では医師不足や偏在が指摘されています。しかしながら岐阜市の人口1000人当たりの医師数は3.7人と、名古屋市の2.8人と比較して多く、また人口当たりの急性期病床数も多いため、過当競争と言えるような状況下にあります。
患者さんに信頼されるには
患者さんに信頼されるために大切なことは、自分の都合ではなく患者さんの立場で考えられるかだと思います。外来での一人当たりの診察時間は限られていますが、その短い時間の中で患者さんにどれだけ手を差し伸べられるかで、得られる信頼は違ってくると思います。「私はあなたをしっかり診ます」という気持ちを伝えるためには、丁寧な診察を行い、患者さんの質問には適切に答え、その場でわからないことは「次回の診察までに調べておきます」と言えるだけの謙虚さが必要だと思います。また触診や聴診などの理学的所見をとる過程そのものが患者さんからの信頼を勝ち取る方法だと思います。
今後と2025年問題
2025年に岐阜県では急性期で3千床過剰、慢性期・回復期は1500床不足すると言われています。急性期病床の在院日数はさらに短くなり、新入院患者さんをどれだけ集められるかが急性期病院の生命線だと思います。地域の拠点となる病院の外来は専門性が要求され、検査・手術など外来でできることは外来で行うなど、入院から外来へと外来への比重が大きくなっていくでしょう。そして、急性期病床では1日当たりの診療密度の高い医療が求められ、「素泊まり入院」を認めない医療が進められると思います。
当院でも高齢者の入院が年々増加しています。したがって、急性期を乗り越えた後も歩行できないなど在宅復帰できない方も多くみえます。地域包括ケア病棟の利用、かかりつけ医や療養施設との連携がますます重要になっていくものと思われます。
医者になった理由
私は数学、物理が苦手で、理系ではありません。しかしながら、当時は理系の技術者が社会から求められている時代でした。取捨選択して文系人間でも理系になじめるのは医学ということになります。おそらく、現在の理系重視の入学試験では医学部へ進めなかったと思います。なお、私が就きたい職業は歴史を教える教員でした。
趣味は、登山、読書、映画鑑賞です。読書は積読ですが、気が向いた時には歴史小説を中心に読んでいます。なかでも学生時代に読んだ本が印象に残っています。感動したのはドストエフスキーの「罪と罰」、三浦綾子の「塩狩峠」です。「塩狩峠」を読了した後は涙が止まりませんでした。
読書の醍醐味(だいごみ)は年齢によって異なり、そこが読書の楽しいところだと思います。
TEL:058-253-8001
JR 岐阜駅から徒歩8 分 岐阜バス「村上記念病院」