外科医としての経験、技術を地域医療に捧げる
日田中央病院の沿革
日田中央病院の沿革 日田中央病院は1955(昭和30)年9月1日に坂本幸彦先生が坂本外科を開設されたことに始まります。その後、医療法人咸宜会日田中央病院と改称し、外科、内科、整形外科、更生医療(腎)を標榜する病床数85床の病院となりました。
1963年には日田臨床検査センター、1970年には人工透析設備を備え、1973年には救急指定病院となって着実に発展してきましたが、1978年に開設者の坂本先生が急逝され、その後は一時低迷した状態となりました。
1981年に、アメリカで外科専門医として開業されておりました木村専太郎先生(現・木村専太郎クリニック院長)が2代目院長に就任され、低迷した病院を建て直されます。1986年1月に現在の名誉院長であります渡辺俊治先生が院長に就任されました。渡辺前院長のもとでは、1998年に病院の増改築を行い、九州大学病院関連施設(2003年)、電子カルテ導入(2004年)、病院機能評価認定(2009年)、DPC対象病院(2011年)と着実に歩みを進め、2014年には病院機能評価再認定、地域包括病床(12床)の開設などを行いました。
昨年は通所リハビリセンターなどを開設し、私は昨年の9月1日、病院開設70年の節目の年に4代目の院長に就任いたしました。
日田中央病院への赴任
医師を目指したきっかけは、父親が医師であったこと、外科医を志したのは、前・九州大学第2外科教授の杉町圭三先生から入局のお誘いをいただいたことでした。
その後は、父の影響もあって、肝臓外科、移植外科を志し、九州大学第2外科、ニューヨーク・マウントサイナイ病院、群馬大学、さらに済生会八幡総合病院などで外科の修練を積み重ねてまいりました。
数年前から渡辺前院長(現在は名誉院長)から、「当地では肝臓癌、胆のう癌、膵臓癌などの手術ができる外科専門医がいない。患者さん、ご家族の負担を考えると、なんとかこの地域で手術をしたい。ぜひとも、野本君に私の後任の院長になってもらいたい」というお話をいただいておりました。しかし、教室(九州大学消化器・総合外科)や関連病院の職責があり、延び延びとなっておりましたが、昨年1月に、九州大学消化器総合外科教授・前原喜彦先生の御推挙をいただき、日田中央病院に参りました。
まずは、教室、関連施設などで研鑽を積んで参りました消化器外科手術医としての知識、技術を生かして当院の手術症例を増やすこと、そして今まで近隣の都市の病院に紹介されていた肝臓癌、胆のう癌、膵臓癌などの手術をこの地域で行い、患者さん、地域の先生方のお役に立てばと考えました。幸い、鬼木副院長が常勤の麻酔医ですし、病院の放射線技師、看護師などのコメディカルもレベルが高く、協力的で安心して手術ができる環境となっています。消化器外科手術全般を私が、血管、乳腺、小児ヘルニアなどの手術を渡辺名誉院長にお願いし、協力して行っております。また、井上副院長が癌全般の化学療法を一手に引き受けてしてくれております。
今後は、適正な医療を効率よく提供するために、今まで以上に病院の機能分化と、病病、病診連携、さらに介護施設などとの連携が求められております。自院が地域から求められている役割は何かをよく把握して、自分の専門である外科手術のみにこだわることなく、地域の中核病院であります済生会日田病院、地域の病院、診療所の先生方とも連携を深めていきます。さらに、外科、内科の救急医療、在宅医療診療所の後方支援に加え、昨年度から日田市医師会を中心として在宅医療連携会議が始めている「ブルーカードシステム」を含めて、在宅医療の支援にも積極的に力を入れ、職員とともに今まで以上に地域医療に貢献できる病院づくりを目指して頑張るつもりでございます。