安心・安全な医療の提供を
広島県厚生農業協同組合連合会(JA)尾道総合病院は1957(昭和32)年開院。公的病院として、がん医療、救急医療、小児・産科医療などの分野で地域医療を担ってきた。
杉田孝病院長は、昨年4月に病院長に就任。今後の取り組みなどについて話を聞いた。
―昨年4月に病院長に就任しました。
病院長に就任したのが昨年4月1日。それと時を同じくして地域救命救急センターが開設されました。それまで広島市と福山市の間には、三次救急医療ができる施設がなかったので、当院に対する周囲の期待をひしひしと感じていますね。
弓削孟文(ゆげ・おさふみ)前病院長の尽力によって開設したこのセンターを維持・発展させていくことが私に課せられた使命だと感じています。
また、当院は広島県に3つある小児救急拠点病院のひとつなので、24時間体制で小児救急にも対応しています。
病院長に就任して最初に感じたのは、廊下ですれ違う職員みなさんが、必ず笑顔であいさつしてくれることです。当院は393床と比較的中規模な病院だということも関係しているのかもしれませんが、院内は和気あいあいとしていますね。
アットホームなこの雰囲気は、先達が築いてきた風土だと思うので、今後もそれを継承していかねばならないと感じています。
―今後の目標は。
病院長に就任してから現在まで非常に忙しく、まだ臨床には立っていません。赤字を抱えている状況でもあるので、当面は病院長職に専念ですね。
いい医療を提供するためには、経営が健全でないといけません。今年度は、ずいぶん経営状況が好転してきており、希望の光が見えつつあります。
優秀な人材を集めるには、良い環境を整備しなければなりません。経営が良くなると環境を整えることができ、良い人材が集まるという、好循環が生じます。いい流れが生まれていると感じているので、これを維持、促進させていかなければならないと感じています。
ー職員に望むことはなんですか。
尾道・三原地区において信頼される病院になりつつあると感じています。これからも地域の中核病院としての責任を肝に銘じて、医療に従事しなければなりません。地域のために貢献するのだという目標があれば、職員が一丸となって頑張れると思うんです。
当院のシンボルマークは「ハンド・イン・ハンド」という、人が手と手をつないでいるデザインです。
ハンド・イン・ハンドとは医療行為である「手当て」を意味しています。患者さんの手を握る、さすることも手当てです。
職員はハンド・イン・ハンドの精神を胸に温かい医療を実践しています。
当院の職員は「人のために尽くす」ヒポクラテスの精神を持ち合わせています。それが医療者の原点なので、これからもその思いを忘れずに業務に励んでもらいたいですね。
地域医療構想で、医療を取り巻く状況は変化しつつあります。今後、当院は高度急性期病床を担う病院になると思いますので、その責任を肝に銘じて、みなさんの生活や健康を守る病院でありたいと思います。
高度な医療を行うと、そこには必ず危険が伴ってきます。私が病院長に就任して最初に職員に言ったことは「安心・安全な医療の提供」です。医療安全文化の土壌を築いていかねばならないと感じていますね。
当院では、医療安全の提供のために各部門の責任者を集めて、毎日「ヒヤリ・ハット会議」を行っています。この会議の目的は、診療中などにヒヤッとしたこと、ハッとした体験報告を受け、この事実の把握・分析を行い、迅速に対策を検討・提案することです。直ちに対応することにより、未然に事故やトラブルを防止します。
高度な医療を提供するためには、なによりも医療安全が大事なので、今後もこの取り組みを続けていくつもりです。
尾道総合病院
広島県尾道市平原一丁目10番23号
TEL:0848(22)8111