「これを食べて、がんが消えた」「食べてはいけない食材はこれ」...。世の中にあふれる、がんに関わる食の情報。患者やその家族に正しい情報と安心してとれる食事を提供したい、とオープンしたカフェがある。「養生カフェ ことほぎ」。乳腺専門「黒木クリニック」(福岡市東区)に隣接し、同クリニックと黒木がん研究所が運営する。
きっかけは、クリニックを受診する乳がん患者からの食事の相談が多かったこと。肉や乳製品を絶つなどといった極端な食事制限で体力を落とし、治療が続けられない人が出ていることも理由となった。
3年前に、現在カフェの店長を務める黒木美紗さんが中村学園大学大学院栄養科学研究科博士課程に入学。栄養について本格的に学びながら準備を進め、昨年4月の開店にこぎつけた。
同店のメニューは、添加物を避け、福岡県糟屋郡久山町の直営農園で作る無農薬の旬の野菜など、できる限り九州産の材料を使って作っているのが特徴。
蒸し野菜に、豚のみそ焼きなど日替わりの「今日のおかず」、みそ汁といった「今日のスープ」、ごはん、小鉢、ドリンク、デザートがつく「ことほぎごはん」(1500円)は、たっぷりの野菜と必要なたんぱく質がとれる看板メニューだ。
そのほか、抗がん剤治療などで食欲のない人向けの特別メニューやパンケーキ、ドリンクといったカフェメニューも充実。アルコール類もある。
ことほぎは漢字で書くと「言祝ぎ」「寿ぎ」。「声に出してお祝いする」という意味を持つ。黒木さんは「おいしいもので、毎日の命をお祝いする、そんな場になれば」と話している。
住所:福岡市東区箱崎1の3の8 アシストレジデンス桜離宮1階営業時間:午前10時〜午後6時30分(土曜は午後8時まで。日・祝日定休、不定休あり)
TEL:092(517)5010