「地域に根差した障がい者支援を目指す」
愛知県初の民間による重症心身障がい児者入所施設「一宮医療療育センター」が1月1日に尾西記念病院(愛知県一宮市)の隣地にオープン。それに先立ち、開設式典が先月23日に同センター内で行われ、県や市、医療関係者など約150人が参加した。
2015年6月現在、愛知県内の重症心身障がい児者入所施設の人口1万人あたりの病床数は全国平均を大きく下回っている。そのような背景のなか、地域のニーズに応えるべく、尾張西部エリアでは初となる重症心身障がい児者入所施設を開設する運びとなった。
同センターには24時間、医師が常駐し、症状によっては杏嶺会グループのほかの施設と連携し、医療を提供する。
また快適な療育生活を実現できるように、余裕のある生活スペースを確保。居室は寝たままでの移動が可能な特殊な車椅子(通常サイズの2倍)をベッドサイドに置いても圧迫感を感じさせないようにゆとりがある。
日中は、南向き約100畳の広いリビング兼食堂で、食事や療育生活を提供することが可能。療養棟の浴室は寝浴タイプ、ミスト浴タイプの両方を設置し、ニーズに合わせた心地よい入浴スペースを確保している。
センターを運営する社会福祉法人杏嶺会の上林公子理事長は式典のあいさつで「これまで杏嶺会では、一宮市内で4病院、1施設を運営してきた。その経験をいかして素晴らしい施設となるように努力していきたい」と話し「一宮医療療育センターは、障がいがあっても前向きに豊かな生活を送っていただくため、入所者の健康を守り、生活を支える医療、生活の充実のためのリハビリテーション、個性を重んじ、人権を尊重した療育、開かれたサービスを指針として、地域に根ざした支援ができるようにしていきたい」と決意を述べた。
来賓の大村秀章愛知県知事は祝辞で「2013年の段階では愛知県内に重症心身障がい児者施設は、382床しかなく、全国で最少だった。120床の一宮医療療育センターが果たしてくれる役割は大きく、心強い限りだ」と述べ「地域の医療・福祉の拠点として機能し、大いに活躍してくれることと期待している」と話した。