一般社団法人 広島県医師会 広島がん高精度放射線治療センター / 広島大学大学院 放射線腫瘍学 永田 靖 教授・センター長

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放射線によるがん治療普及のために

【略歴】1982 京都大学医学部卒、 同附属病院放射線科入局1990 同放射線医学教室助手 1993 米国ミネソタ大学放射線腫瘍学教室 1994 京都大学医学部放射線医学教室講師2000 同大学院医学研究科放射線医学教室助教授 2008広島大学病院放射線治療部教授2009 同大学放射線腫瘍学教授 2012 同大学医歯薬保健学研究院放射線腫瘍学教授2015 広島がん高精度放射線治療センターセンター長兼任

 2015年10月1日より診療を開始した広島県立広島がん高精度放射線治療センター「HIPRAC(ハイプラック)」。全国的にみても初めての試みとなるネットワーク型がんセンターのセンター長に就任した永田靖教授に話を聞いた。

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―診療を開始されてみていかがですか。

 当センターは、広島大学病院、県立広島病院、広島市立広島市民病院、広島赤十字・原爆病院、その他のがん診療連携拠点病院と連携したネットワーク型がんセンターとして、高精度の放射線治療を主に想定してスタートしました。

 現在、大学病院からは順調に患者さんを紹介してもらっていて、あとの3病院からは少し出遅れているところもありますが、ほぼ想定していたペースで患者さんは着実に増えてきています。

 原則的には広島県内の患者さんが対象ですが、将来的には県外や国内外の幅広い地域からの紹介も受けられるようにしたいですね。

 通院治療となりますので、通院が困難な患者さんには周辺のホテルをご紹介したり、近隣の広島鉄道病院にご協力いただいております。 

 放射線治療のメリットは、手術に比べて侵襲が少ないこと。患者さんへの副作用が少ない治療方法なので、高齢者が増えている状況においては、より必要性が高まってくると思います。

 最新の放射線治療では、手術と変わらないぐらいの結果を出す医療機器も出ています。実際に、早期がんで手術をせずに放射線治療を選んでも、手術と同じだけの結果を得られる時代になっているのです。

 がんの治療には放射線治療もあり、手術もあり、抗がん剤もある。それぞれのメリット、デメリットを患者さんにわかりやすく説明して選んでもらうことが重要です。患者さんに放射線治療を選んでもらえるように、われわれも腕を磨かなければいけないし、それと同時にいろんな情報を多くの人にお知らせしていきたいと思います。

―なぜ、放射線治療医に。

 私はチャレンジングな人間なので、人のできないこと、世の中で困難なことに挑戦したいという気持ちが強かったんです。

 その当時、がんは不治の病であり、がん治療医への道を選びました。放射線科を選択したのは、全身のがんを診療することができ、幅広いがん患者さんの相談にのれるのは、放射線治療科だけであるということに気づいたからです。

 外科は胃がんの手術はできるけど、舌がんの手術は治療できない。耳鼻科医も頭頸部がんは診られるけれど、子宮がんは難しい。緩和医療から根治治療まで幅広くがんを診療できるのは放射線治療科のみだと思います。

 がんのことなら、放射線治療医に相談すれば、幅広い意見が聞けるはずです。

―「元気とほほえみ」がキャッチフレーズですね。

 昔は死の病とも言われたがんの患者さんには、客観的に考えてあまりいいニュースがあるわけではありません。もし私が患者だったら、医者の顔色をうかがいながら、あれこれ気を巡らせるはずです。

 そこで医者が暗い顔をしていたら、聞きたいことも聞けない。反対に元気でにこにこしていたら、「先生、実はこんなことを悩んでいるのですが」と気軽に言えるでしょう。

 「この先生になら任せられる。どんな結果になっても満足できる」。そのように患者さんに信頼してもらえる医者になろうと思って、今も努力しています。

 だから、いつも若い医学部生には「自分が診てもらいたい医者を目指そう」と話しています。

―医学部生へメッセージをお願いします。

 30年以上、 医学部生に教えていますが、「世界を目指してほしい」と言いたい。日本には英語が話せない医学部生が多いように感じます。

 中国でも韓国でも、若い人はみな英語を話していて世界に目が向いている。日本人はどちらかというと内向きで、昔に比べると留学もしなくなった。だから、もっと世界を目指すような広い視野を持ってほしいですね。

 それから、医学部生の中には人とコミュニケーションをとるのが下手な人も多い。そういう私も、受験勉強は人に負けないくらいしたけど、人と話すのは得意ではありませんでした。ところが、医者になったらそれでは、通じなかった。

 患者さんの話を聞く「傾聴」ももちろん大事ですが、患者さんが求める答えを教えてあげないといけないし、「私はこう思いますよ」と伝えるとすごく安心される。そのためには人の気持ちもわからないといけないし、適切な言葉、コミュニケーションで伝えることが医療人には求められていると思います。


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