九州大学大学院 医学研究院 泌尿器科学分野 江藤 正俊 教授

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練習回数は手技のレベルに比例する

1986 九州大学を卒業し同附属病院泌尿器科研修医。浜の町病院泌尿器科、原三信病院、総合せき損センター、県立宮崎病院副医長、九州労災病院、国立中津病院医長、九州大学医学部附属病院泌尿器科助手を経て1999 米国ピッツバーグ大学外科研究員。2009 熊本大学大学院医学薬学研究部泌尿器病態学分野教授。 2015 九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野教授。■第94 回日本泌尿器科学会総会賞、 第49 回日本癌治療学会優秀演題賞、 第27 回AnnualEAUCongress Best Poster Award、 平成24 年度科学研究費助成事業審査員賞などを受賞。日本泌尿器科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本移植学会、日本免疫学会、日本泌尿器内視鏡学会、米国泌尿器科学会、欧州泌尿器科学会などに所属。

 九州大学医学部臨床研究棟に、泌尿器科分野の江藤正俊教授を訪ねた。江藤教授には熊本大学の教授時代、ダ・ヴィンチや泌尿器患者のQOLについて語ってもらったことがある。今回は外科系の研修医に望むことや他施設共同研究などについて聞いた。

多施設共同研究が盛ん

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趣味はテニス。「九大テニス部のみんなと汗を流したいですね」と江藤教授。

 まず、外科系の医師は手術が非常に大事ですから、トレーニングをきちんとやるのは必須のことです。さらに新しい手術や手技にチャレンジする時は、組織の管理体制がしっかりしていなければなりません。

 大学ですから研究の分野も重要で、新しい医療や治療法を見つけようとするリサーチマインドを常に持っておく必要もあります。

 とはいえ一つの大学にできることには限界がありますから、最近では、全国的・横断的な「多施設共同研究」が盛んです。JCOG=日本臨床腫瘍研究グループ/ JapanClinical Oncology Groupといいまして、 私たち泌尿器科は2000年以降に始まりました。

 多施設共同研究での無作為化試験は、数が多く集まり、バイアスもかかりませんから、エビデンスを出すのに非常に役に立っていると思います。

 新薬の臨床治験ともなるとさらにグローバルで、多人種でやるため人種のバイアスがかからず、あるいはサブ解析で人種間の差もわかります。大学や規模の大きな病院が中心となって行いますが、最も大きなメリットの一つは、標準治療をつくれるということです。

 かつての医療は、長年の勘や経験に頼ることが多く、それの積み重ねを習ってきたものでしたが、今は無作為化試験をすることで、標準的な治療方法やガイドラインを作成できるようになりました。

 患者さんのステージ、病期に合わせた標準治療は、多施設共同研究での無作為化試験でのみ得られるもので、その標準治療をつくる作業に参加できることは、われわれの立場でのやりがいとなっています。

トレーニングの回数は手技のレベルに比例する

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ドライボックスの練習風景(画像提供=九州大学泌尿器科)

 若い研修医には、基本的な手技はむろんのこと、段階に応じて簡単な手術から学んでもらいます。そしてもう一つ大切なことは、標準治療を覚えていくことです。

 標準治療とガイドラインに沿って治療するために必要なのは、患者さんの状況を把握できているかどうかです。それをカンファレンスできちんとプレゼンテーションできるようになってもらいたいのです。標準治療は状況ごとに違いますから、どんな検査をして、その結果どんなステージで、だからどんな治療が必要かを体系立てて説明できることが重要です。説明できることが自分の理解につながるわけです。

 患者さんの状態について表現できる習慣が身につけば、どこに行っても信頼されます。そのうえで実際の手術の時には、最初は助手や簡単な手術から入っていきますが、外科医なら糸結びの練習は自分一人でやっておかなければなりません。

 最近は開腹手術だけでなく、腹腔鏡など内視鏡手術も増えていますから、モニターを見ながらドライボックスで目と手がきちんと動く、ハンド・アイ・コーディネーションがうまくいくようになる練習もやらなければなりません。トレーニングの回数は手技のレベルに比例しますから、それをやらない人には難しい手術はさせられないです。私は研修医に「ドライボックスでトレーニングしないような人は難易度の高い内視鏡手術をする資格がない」と言っています。それは手術の時間にも関係があるからです。たとえば腎臓の手術で、阻血時間といって、腎臓の血流を遮断している時間が長くなれば、術後の腎機能の回復に影響します。だから短ければ短いほどいい。練習していない医師がもたもたしていると困るわけです。

最先端の場にいられる

 医者である限り、どこにいてもやりがいやよろこびは感じるものです。

 私が大学にいるのは、最先端の医療が常に間近にあり、若い医者を育てることにやりがいを感じるからです。そして新しい治療法を見つけるための研究もやれる。さらには、海外の学会に参加して最新の考え方や情報を持ち帰り、それをフィードバックしていく使命もあると思います。


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