宮崎県立宮崎病院 精神医療センター 橋口 浩志 センター長

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互いの信頼関係を、時間をかけて

1989 年 宮崎医科大学を卒業し、同大学院に入学。1992 年 同大学院を卒業し南カルフォルニア大学医学部内科に留学。1995 年 宮崎大学病院医員、県立知的障害者総合福祉施設向陽の里診療所勤務1998 年 宮崎大学病院精神科助手。2007 年 同講師。2009 年 県立宮崎病院精神医療センター/センター長。現在に至る。

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診察室には、左右に出入り口がある。「大人用と子ども用に分けてあるんです」。橋口センター長の趣味は読書。小説をはじめいろんな本を読むという。お薦めは?と尋ねたら、大した本は読んでいませんからねと笑った。

―精神科をひとことで言うなら。

 症状だけでなく、その人の生きざまや人生までひっくるめて、寄り添い、付き合っていかなければならない診療科なのかなと思っています。ほかの科に比べて、区切りの難しい、終了と言える日がわかりにくいのが精神科です。

―患者との人間関係はどうつくりますか。

 私自身に技術とかがないので、時間をかけるしかないですね。相手のことや、歴史をよく知って、これまでの生活を丹念に聞いていき、私のことも分かってもらい、自分自身で決めてもいいんですよ、との気持ちで接することでしょうか。この人には話してもいいんだと思ってもらえる関係をつくれたらいいと思っています。むろんいろんな病気があって、依存の強い方にはそれでは済まないのでしょうが、一般的な、統合失調症やそううつ病などは、診察の中でそのようにしていけば、互いに付き合っていけるのかもしれません。

―宮崎に多い精神疾患は。

 自殺者が全国でも多いほうだと思います。精神科までつながらない人も多く、県の対策で大学の精神科の教授も関わって、いろんな対策を打ち出しているようです。

 私は子どもを多く診ているので、大人については詳しくないのですが、原因は単純ではなく、いろいろあるでしょうから、難しいところですね。私の体験からいうと、本当に死を覚悟された人を救うのは困難だと思います。こうなるともう、医療だけの分野ではないと思います。

―最近の子どもに特有な面はありますか。

 最近の傾向として発達障害のお子さんが多く、統合失調症などは昔とそう変わらないのかもしれません。核家族化やストレスにさらされる時代になっていますので、対人関係やコミュニケーションのあまり上手でない人が多いように感じます。

 最近の子どもはいろんな遊び方を知らない。これは事実だと思います。危ないからやめなさいと親に言われ、子どもさん同士の付

 子どもは、家族だけではなく、祖父母も含めて地域ぐるみで育てる必要があるのではないでしょうか。

―この仕事でよかったと思うことは。

 患者さんが私の前に現われなくなった時でしょうか。「先生、じゃあこれで」と礼を言われて、「そうですね、終わりにしましょうか。困った時はいつでも来てください」と言葉を交わせた時です。回復して自立できたのかなと、ふと思い出したりします。子どもの場合は、タメ口だった子が成長して、丁寧な言葉遣いになった時でしょうか。

 精神科医は特に、技術やテクニックだけではなく、人間の持つ幼さや本能のようなものも認めながら、医療者として自己を確立するために、いろんな人と付き合って見聞を広めていけばいいのかなと思います。

―地域の人たちが心がけておくことがあれば。

 一般の方が、心に問題を抱えていることに気がついていない人と関わるのは難しいことです。

 いっしょに仕事をしている場合であれば、明らかな時は、ちょっと診てもらいにいこうと誘うとか、家族に状況を聞いて受診を促がすとかになるのでしょうが、今の時代は難しいかもしれません。県レベルで心の健康相談室のような窓口があるはずですから、そちらに相談されたらいいでしょう。


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