医療法人 十全会 井上病院 井上 篤 理事長

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全員がProfessional プロフェッショナル

【略歴】2005 川崎医科大学医学科卒 2006 徳島県立中央病院 2008 医療法人 十全会 井上病院 2008 徳島大学ヘルスバイオサイエンス研究部消化器内科学大学院 2009 医療法人 十全会 井上病院理事長就任【所属学会】日本慢性期医療学会 徳島県慢性期医療学会 日本消化器内視鏡学会 日本消化器病学会 日本運動器科学会 日本プライマリ・ケア学会 日本東洋医学会 日本癌治療学会 日本臨床腫瘍学会

―若くして病院を継がれていますね。

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 もともとは消化器内視鏡医を目指していて、徳島県立中央病院で研修させてもらっていたんです。そのまま内視鏡医として働く予定だったときに、父の訃報が入ってきて。家族で相談した結果、僕しかないなと思って、病院を継ぐことを決意しました。

 それからの後期研修は、地域医療や整形外科などについてもいろいろ勉強させてもらって、自分の中で消化器内視鏡医から「地域医」という意識に変わりました。

 井上病院で働き出した当時は苦労もありましたが、だんだん板野町の皆さんにも認知してもらえるようになり、最近ではお孫さんや娘さんがホームページを見て家族を連れて来院されることも増えました。おかげさまで入院も365日満床という状況です。

 板野町で病棟がある医療施設は、国立病院機構の東徳島医療センターと当院だけですから、うまく連携を取って、協働もさせてもらっています。

 昔から性格上、人を動かすのが好きなんです。学級委員をしたり、在校生代表の送辞を読んだり、弓道部で主将をさせてもらったり、西日本医科学生体育連盟の主管をしたり。偉そうに聞こえるかもしれませんが、自分が教えた人が成長して行くのを見ることが好きなんです。今はこれを社会でリアルに実践できるようになったという感じです。理事長になって良かったと思います。一方で、もちろん大きな責任も感じています。父が苦労して建ててくれた病院ですし。

―職員に求められるものはなんですか

 板野町に移転して12年、「全員がProfessional」という理念を掲げています。職員にはProfessional であるという自覚を持って欲しい。生半可な気持ちで患者さんに接して欲しくない、ただそれだけです。

 以前、グループホームで認知症の患者が転倒して骨折してしまったことがあって、夜勤をしていた職員が翌日、責任感から退職届を出してきたんです。僕は、「それはアカン。お前が辞めたからって患者さんが治るわけじゃない。せめて骨折が治ってから辞めてくれ」と言いました。すると、その職員は患者が治った後にまた退職届を持って来て、僕の目の前で破ると「やっぱりここで働きたいです」って言ってくれたんです。「あ、こいつProfessional やな」って感動がありました。職員には「社会に出ればProfessional でなければ」ってことを実感させてあげたいですね。

―医師として心がけていることはありますか。

 笑顔。そして患者と家族との信頼関係の構築です。特に入院される患者さんには、僕だけでなく受付の事務職員も一緒に、じっくり時間をかけて説明をするようにしています。

 それから、昔、上司だった先生に「○○もできる内視鏡医を目指せ」と言われたことがあります。その○○に入る言葉は普通だったら内視鏡の単語になるんでしょうけど、僕は、「膝関節注射もできる内視鏡医」、「乳がん検診もできる内視鏡医」、「サル・カメにかまれた患者も治療できる内視鏡医」など、地域医としてのProfessional を目指したい。「何でも診る」というのは賛否両論分かれるかもしれませんが、高齢化が進む今、時代と共に医療の形も変わって来るんじゃないかと思います。

 団塊の世代が高齢者になる2025年というのは「本当に医療は必要なのか?」って時代がくるかも知れない。当院の経営も正直傾いてますし、臨床現場も「Cure」から「Care」に傾いているようで「これが国家試験を目指していた学生時代に求めていた医師ですか?」と問われると少し寂しい気もします。でも、これも時代の流れですから、地域のみなさんのニーズに合わせて、病院も変わっていく必要があると思います。

―どうして医師に。

 「親父の背中を見て」ですね、間違いなく。亭主関白で厳しい父でした。よく怒られてましたけど、大好きでしたし、今も尊敬しています。亡くなってから父の話を聞くと、「僕や弟が帰省する日は診察を早く切り上げて待っていた」とか、「すぐに板野駅に迎えに行けるように車に乗って待っていた」とか。そんなことを亡くなった後に聞いてしまったんで、寂しさと後悔が少し残っていますが、そんな優しさもありながら厳しく育てられました。

 以前の板野町吹田にあった井上病院は救急もやっていたので、父が夜中に呼び出されて階段を降りる音が聞こえていました。そんな父の姿に僕もつられて「勉強せなアカンな」って思いました。だから僕も弟も医師以外は一切考えたことがありません。

―週に1度、院内勉強会をしているそうですね。

 毎月第3週以外の水曜日はなるべく職員全員で集まって院内勉強会をしています。認知症や誤嚥性肺炎といった疾患別テーマから、病棟患者・通院患者の車椅子からベッドへの移乗の仕方などの具体的な臨床で使えるテーマまで、みんなで勉強しています。職員も積極的に参加してくれていてうれしいですね。

―今後の展開について。

 診療報酬・介護報酬の同時改定もあり、状況は厳しくなっていくでしょう。今は365日満床の状態ですが、基本入院料が下がっていく中での医療は一層厳しくなります。人件費にも影響が出てきますが、「全員がProfessional」って言ってるぐらいですから、人件費を削減してまで利潤を追求しようとは思っていません。将来的には「介護」の方にも着手して、さらに地域密着型の医療・介護をやっていきたいと思っております。


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