【院長就任から1年―医療機能評価を終えて】病院機能を再評価し、2025 年問題に備える
―昨年、院長に就任されてインタビューを受けていただきました。その際、医療機能評価を受ける予定があるという話をされています。
超高齢化社会をむかえる、いわゆる「2025年問題」にむけて病院が問われているのは、それぞれの立ち位置をどう確立するかということなのだと思います。院長に就任した際に「自分たちの立ち位置を見直したい」という思いで医療機能評価の受審を決め、1年間かけて準備したうえで8月に受審しました。まだ正式な認定証をいただいていませんが、とくに大きな問題もなく審査を終えたところです。
どのように評価されるかというのはもちろんですが、機能評価は病院を外部の目で見たときに標準的なレベルに達しているかどうかということでもあり、職員全員の意識を変える良いきっかけになったと思います。
独りよがりにならずに、かといってあまり卑下もせずに、自分たちの病院ができていることとできていないことを客観的に認識することができたのは大きいですね。
―香川県済生会病院の「立ち位置」はどこにあるのでしょう。
当院は、ある程度急性期に特化した、高い専門性を備えた病院であるといえます。
高松日赤病院や香川大学、県立中央病院といった大規模病院のように総合的に多様な科をそろえることはできませんが、たとえば当院の整形外科は手術件数が年間1千例を超えており、県下ではもっとも多いのです。内視鏡治療にしても年間約4千例あり、かなりレベルが高いといえます。
―昨年のお話のなかで、「人材育成に力を入れたい」ということをおっしゃっていました。
年始に今年の病院の目標を立てて発表しました。その中でも「人材は組織の宝」と明記していますが、患者さんの満足度を上げるためには職員の満足度を上げることも必要だと改めて思うのです。働く喜びや、やりがいをどう育てていくのか。すぐに給与を上げるわけにもいきませんので(笑)、医師だけでなく理学療法士や薬剤師、事務職のスタッフが研修を希望する場合は、外部の研修でも費用の一部を負担して奨励することにしました。
―冒頭でおっしゃった2025年問題にむけて、どのような病院運営をされますか。
地域医療ビジョンの中で、「あなたたちの病院は、どう変わることができるのか」ということを問われています。
国の立場としては、あくまで病院の自主的な変化で急性期の病床を削減してほしいのでしょうが、いずれにしても自分たちの病床機能をしっかり見据えて、明確な病院像を描かなければなりません。
当院は、急性期の特定分野では香川県内最良の医療を提供しなければなりませんし、地域で連携をとりながら地域包括ケア病棟も充実させなければならないでしょう。「済生丸」という船で離島を巡回する診療船事業もそうですが、済生会という組織が期待されているもの、果たさなければならない役割をもう一度再認識して、地域で存在感を発揮していきたいと思います。