地域住民を支えるために、標準的で質の高い医療を提供する
標準的で質の高い医療
病院の役割は医療圏の人口動向や地域の特性によってそれぞれ異なってくると思います。この地域は高齢化率が高いので、受診していただいたときにきちんと話を聴いて、悪性疾患を事前に察知することも役割のひとつです。
あとは、標準的で質の高い医療を提供するためにも、大学病院への紹介などを適切に行うこと、これが必要とされている機能でしょう。さらに、手術や入院を終えて帰ってきた際には、栄養療法とリハビリを基本に生活者としての暮らしを支えていく必要もある。
幸い、私はこれまでに多様な病院を見ることができましたので、この地域で須波宗斉会病院がどうあるべきかについて、ある程度は青写真を描くことができます。
やはり、医療の原点は患者さんと向き合うことにあります。当地域でも住民の方との距離をもっと縮めなければならない。原点に戻って、「人間」と向き合っていきたいと考えています。
超高齢化社会の到来
これからは、地域が持つ社会資源をすべて活用して、医療だけではなく介護面でもみんなで協力して地域住民を支えていくことが必要になります。いわゆる地域包括ケアといえるかもしれませんが、その中でも栄養療法やリハビリが重要になるでしょうし、医療の入口部分の相談機能や診断機能を充実させる必要もあります。
現在、当地域のかかりつけ医の方々と一緒に勉強会を行っています。厚生労働省が推進している在宅医療にしても、病院単独ではなにもできません。共同診療など、地域の医療機関が協力して実施することで、まだまだ地域を支える力を発揮できるでしょう。
日本の医療制度を守る
諸外国と比べても、日本では高水準の医療がまんべんなく提供されています。しかし、これ以上の過疎化や少子高齢化は医療制度を破たんさせるおそれもある。
そもそも、医療や福祉については基本構想を国民全員で共有すべきです。そのうえで、きたるべき未来に備えなければならない。
少子高齢化には病院の役割分担や病院間、病・診療所間の連携をさらに進めることで対応が可能ですが、本質的には、国民の理解と覚悟が必要なのだと思います。