自分の老いや、いずれ来る死について考えることが増えた。おそらく日本尊厳死協会の会員になってリビングウイルを書いたからである。
今すぐに来るわけでもなさそうな、しかし確実に訪れる自分の死を尊厳的にと、自ら定めたことで、自分の生全体が尊厳的になった。これは会員の大多数が感じていることだろう。
若い人は生きることに本質的に不慣れだから、生涯にわたってアクセルの踏みっぱなしでいいという感覚は許される。だが本当の豊かさはそれとは異なることを知った中高年者が、ブレーキを踏みつつこれからの人生をさらに謳歌したければ、同協会の会員になることをお勧めする。リビングウイルを作成し、自分は尊厳的な死を迎えるのだと内外に宣言したその瞬間、残された時間のすべてが尊厳的になる。
本号から一般財団法人日本尊厳死協会本部の白井正夫理事が、尊厳死について寄稿してくれることになった。同協会九州支部の原信之会長が間を取り持った。誰の身にも、医療の次に来るものである。連載を期待したい。