生活の再構築を図ることが重要です

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医療法人社団和風会 橋本病院 橋本 康子 理事長

1981 名古屋保健衛生大学(現藤田学園保健衛生大学)医学部卒 香川医科大学第一内科教室入局 国立療養所高松病院勤務 1985 米国インディアナ大学腫瘍学研究所勤務 1988 橋本病院勤務 2000 医療法人社団和風会理事長就任 2007 千里リハビリテーション病院開設 ■社会福祉法人徳樹会理事長■社会福祉法人福寿会理事長■全国抑制廃止研究会理事■香川県抑制廃止研究会会長■日本慢性期医療協会理事■香川県女医会会長■日本慢性期医療協会常任理事■老人の専門医療を考える会監事

 橋本病院( 三豊市)は、回復期リハビリテーションと認知症病床を備え、地域の高齢者医療を担っている。

 橋本康子理事長に高齢化社会におけるリハビリの重要性などについての話を聞いた。

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◆生活の再構築

 回復期リハビリテーションとはADL(日常生活動作)を向上させて在宅への復帰を促すのが目的です。当院の回復期リハビリテーション病棟では生活の再構築を最大の目標に掲げています。

 患者さんの一日は、起床して、自分の足でトイレに行き、洗顔、歯磨きをして身だしなみを整えて食堂で朝食をとるという一連の流れから始まります。健康な人間にとっては至って普通の行為ですが、脳卒中の術後すぐの人などは朝目ざめてもベッドから起き上がれないし、排せつもままなりません。その人たちに以前の生活を取り戻さなければなりません。

 一般的にリハビリというと機能訓練を想像しがちですが、「機能訓練リハビリ」イコール、リハビリではありません。まずは生活動作ができるようにする、その次に外に出て買い物などに行く。徐々にステップを踏んでいくことが重要です。

◆認知症とリハビリテーション

 認知症の予防・治療はリハビリテーションと切っても切れない関係にあります。認知症においてもADLを向上させて生活の再構築を図ることが重要なんです。

 認知症になると昼ごはんに何を食べたか忘れる、自分の家がわからなくなる、性格が変わる、もっと進行すると家族の顔も分からなくなります。食事も取らなくなり、体は痩せ細っていきます。生活が壊れて混乱した状態なので、まずは生活のリズムを整える必要があります。

 規則正しい生活のリズムを毎日、体に刻み続けることで、最初は半日かかっていたことも、慣れてくるにつれ短時間でできるようになります。

 生活のリズムが整うと栄養が取れるし、歩くことで筋力がつく、外出することで気分が晴れると好循環になってきます。

 リハビリテーションとは「本来の状態に戻る」という意味です。そこには自分の生活、人間としての尊厳、その人が、その人らしく生きていく方法を取り戻すという意味が込められているんです。

 かつて得意としていたことや慣れ親しんだことを取り戻せると、自然と生き生きとしてくるものです。

◆ストレスの根源を取り除く

 現在の医学では認知症を治してしまうことはできません。それならば患者さんのストレスの根源を取り除くことで患者さんに楽しく過ごしてもらう、それが重要ではないでしょうか。

 当院では無理に入院前の状態に戻そうとするよりも、病棟であろうが、自分の家にいるかのような感覚でストレスなく過ごしていただくことに力を注いでいます。

◆すべてを受け入れる

 認知症の患者さんは昔の記憶はあっても、つい最近の出来事は忘れてしまいます。

 毎年、春に認知症の患者さんたちと遠足に行っています。遠足から帰ってくるとみなさん口をそろえて「今日は楽しかった」と言います。でも夕食までの数時間で忘れてしまうんです。しかし、その日の夕食は、ご家族も職員も驚くくらい上機嫌です。何をしたか忘れていても楽しかった記憶は心の奥底にあるのでしょうね。

 逆に怒られたりするとそのときに感じた悲しさや、つらさはずっと心に残るんです。しょっちゅう怒られていると、負の感情が心に蓄積していき問題行動を起こしてしまいます。認知症の治療では否定的な言葉、指導的な言葉はタブーです。すべてを受け入れて、否定するのではなく、別の手段を提示する必要があります。

◆在宅入院への取り組み

 これから在宅入院という形態を推し進めていけば、今ほど施設や病院がいらなくなるのでないでしょうか。病室に行くのと同じ感覚で、患者さんの家に朝から医師、看護師などいろんな職種の人間が時間差で訪れれば、病院と同様の医療を提供できます。

 在宅入院では入院料がかからないので医療費を軽減できます。もちろん手術や抗がん剤治療などは入院するしかありませんが、たとえばリハビリならば家でやった方が良い面もあります。

 これからは医療者が積極的に患者さんの家を訪問するべきです。住み慣れた環境でリハビリをするのが最も効率的なんです。

 患者さんの家に行くことで医療者も患者さんに何が必要かが把握できます。患者さんと医療者、双方にメリットがある取り組みではないでしょうか。

◆地域連携パス「K―MIX」

 かつて当院は急性期病院とのつながりが薄かったのですが、現在では急性期の患者さんを積極的に受け入れています。

 それが可能となったのは2005年に地域連携パスの「K―MIX」の運用が始まったからです。

 患者さんの情報をコンピューターで共有できる仕組みで、書式も統一化されて業務の効率化に一役買っています。

 急性期病院では在院日数が短縮され、患者さんによっては放り出されたと感じる人がいるかもしれませんが、各医療機関で患者さんの情報を共有化することで転院先で患者さんが困るようなことがなくなりました。


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