ヘリポートの設置は南海トラフ地震を想定して

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医療法人 芳越会 ホウエツ病院 林 秀樹 理事長

1972 徳島県立脇町高等学校卒 1979 川崎医科大学を卒業し徳島大学医学部第三内科入局 1980 高知農協総合病院(現JA 高知病院)勤務 1982 徳島大学医学部附属病院勤務 1985 林病院勤務 1992 医療法人芳越会林病院院長 1996 医療法人芳越会ホウエツ病院院長 1998 医療法人芳越会理事長 2001 医療法人芳越会ホウエツ病院院長併任 現在に至る■日本胸部疾患学会認定医 日本内科学会認定内科医 日本人間ドック認定医 介護支援専門員 徳島県医師会救急災害委員 全日本病院協会救急・防災委員 美馬市医師会救急災害委員 徳島県ドクターヘリ運航調整委員

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―病院横にヘリポートを備えたのは県の要請ですか。

 いえ、補助金ゼロ、自前で設置したんです。2つ理由があって、この地域のためと、いずれ来ると言われている南海トラフ地震に備えてです。

―すぐ目の前に吉野川の河原がありますね。ヘリポート代わりにできませんか。

 そこはだめです。救急の入口にストレッチャーで運べるヘリポートは海外では常識です。屋上ヘリポートも大災害の時は電気が止まってまったく役に立ちませんからね。

 さっきもよその施設から救急車でこのヘリポートに急患が運ばれてきて、うちの医師やスタッフが容態を確認し、搬送の可否を決めたんです。

 だから当院のためにドクヘリを運用させたくてつくったのではないのです。今は4日か5日に1回は飛んで来ますね。

 2002年に県内の医療機関で初めてここにヘリポートができ、一番喜んだのは航空隊です。やっと救助した人を降ろせる病院ができたと。消防にも感謝されましたね、助からない命が助かるわけですから。そして2006年に徳島赤十字病院が屋上につくり、今ではあちこちにあります。

 当院は救急救命士の研修病院です。さらには民間病院ですから、自治体病院のような制約はほとんどなく、1年だろうが5年だろうが、契約次第でずっと働けます。ここに来れば本当の意味で総合診療医に何が必要かわかります。ドクヘリが降りて、在宅から介護までを同じ法人内でやっているところは少ないんです。

―南海トラフ地震がそのうち来そうです。

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ホウエツ病院そばのヘリポートに到着したドクヘリ(写真提供=医療法人芳越会)

 徳島県は県民77万人の80%以上が徳島市内あたりで暮らしています。

 さきほど飛び立ったドクヘリは徳島中央病院に向かいましたが、ほかの基幹病院もほぼすべてが沿岸沿いにあり、南海トラフが来たら病院はどこも止まります。しかも、我々の使用する薬や注射など、医療物資の9割も河岸沿いにあるのです。

 そのような状態で大災害が起こったら、大阪や静岡は中心地が浸かり、高松や広島は県庁が浸かる。香川県も市内の基幹病院は、大学病院以外はすべて浸かります。

 そうすると四国まで救援に来られない。徳島では県民の80%が津波に遭うわけですから、それを助けるためにここにヘリポートをつくったのが大きな理由の一つです。災害の時にはヘリが3〜4機降りられるだけの広さがあり、そばでトリアージもできます。

―県庁はどうなりますか。

 大きな災害が起こると、県庁に各機関が集まり、災害情報に基づいていろんな采配をしますが、その県庁が使えません。そんな場合の出先として県民局が徳島県には2カ所あります。1つは徳島の南のほうの阿南市。もう1つが美馬市脇町で、当院から歩いて行ける場所です。過去の歴史を見ると、このあたりは絶対に津波は来ませんから、当院があろうがなかろうが、県の指令機関はここに来るでしょう。その時に道路は災害で使えません。空路しかないのです。

 そしてたくさんの被災者が県中西部に来ると、スタッフや医療資源の不足で対応できない重傷者に対しては、災害の起きていない場所への広域医療搬送が必要になります。

 その時にヘリで個々に対応するのでは数が追いつかず、自衛隊の大型輸送機が必要となります。そのためには滑走路が必要ですが、四国で唯一確実に使えるのは高松空港といわれ、ここに傷病者を集めて送るSCU(ステージ・ケア・ユニット)が組まれる予定です。

 高松空港に最も近い徳島県でヘリポートのある医療機関は当院であり、ヘリを利用すると上空では3分半の距離です。また全国からDMATが高松空港を経由して応援に駆けつけた場合も、当院を中心に県西部が徳島県の受け入れ口になると思われます。

―その時、中四国医事新報はどんな援助ができますか。

 いま何が起こっているのか、それを正しく伝えてほしいです。メディアの力は大きいですからね。


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