楽しくなければ患者会じゃない

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島根県腎友会 稲田 豊 会長

【略歴】臨床工学技士(1998 年・1期生)・准看護師(1983 年) 透析施設で臨床工学技士として従事、2014 年3 月退職まで31 年間勤務。同年4 月より島根県腎友会事務局勤務。1972 年高校卒業間際に風邪、扁桃腺炎、溶連菌感染で腎炎に。1974 年12 月(当時20 歳)より透析生活に入り、透析歴は40 年目を数える。1976 年頃より全国腎臓病協議会に役員として関わり、2011 年理事に就任。島根県腎友会会長(1998 年~)、島根県身障連理事(2008 年~)を兼任。

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趣味は写真。カメラを担いで出歩くことが健康の秘訣だとか。

―島根県腎友会の歴史と活動について。

 1971年に全腎協(全国腎臓病協議会)が発足したころの島根県にはまだ透析施設が少なく、腎臓病患者は、広島や、岡山、鳥取で入院しながら透析を受けていました。1975年になってようやく県内に透析施設ができたことを機に、島根県腎臓病患者連絡協議会という名前で患者会が発足し、今年でちょうど40年になります。初めはひとつの病院で20人くらいの小さな会から出発して、それから全県に広がっていきました。

 会長になったのは1995年。その2年後に島根県で患者会の全国大会をやることになっていたのですが、役員が高齢化していたこともあり世代交代しました。私は1974年から透析をしているので、発足当初からずっと関わっています。

 発足当初の主な活動は、全腎協が掲げていた、「早期発見から移植までの一貫した腎疾患総合対策」の実現にむけたものでした。具体的には「腎臓病患者の命と暮らしを守る」スローガンのもと、医療や福祉面の充実に向けた行政との懇談、議会への陳情、国会請願といった運動を続けてきました。

 患者会というと、「運動しないといけない」という、少し難しい印象があるかもしれません。でも、患者会にはもうひとつ重要な役割があると私は思っています。

 ほかの病気も同じかもしれませんが、いざ自分が患者になって困ったときに、頼りになるのは同じ経験をしてきた仲間であり、同じ病気を持った仲間です。自分ひとりじゃない、仲間がたくさんいます。みんなで集まって、わいわいやっているうちに、不安な気持ちもすっきりするのではないでしょうか。そのために患者会があるのだと思います。

―「楽しくなければ患者会じゃない」がモットーですね。

 笑うことは健康にもいいと聞きます。患者会で楽しいことをやって、みんなで一緒に笑い合うことで長生きできたり、病気に対しても立ち向かうことができます。総会の後に落語家さんを招いて落語会を催したり、「笑い療法士」の先生に講演していただいたこともありました。笑い療法士というのは、私も資格を持っていますが、ただ笑いを提供するだけではなく、相手に寄り添って話を聞いたり、会話したりする人のことです。話しているうちにその人が自然にほっとできて、心からの笑いがふっと出る。そうしたサポートを心がけています。

 また、年に1度は患者家族集会も開いています。患者さん、家族、会員じゃなくてもいいから参加してもらって、テーマを決めずに自由に話してもらいます。病気のこと、困っていること、なんでもいい。専門家がいるわけではないので、きちんとした答えは出せないかもしれないけど、なにかのヒントになればいいと思い、会長になってすぐ始めた取り組みです。

―ご自身も資格を取って透析の病院に勤務されていたのですね。

 主治医の勧めで20代のころに准看護師の資格を取り、その後、臨床工学技士の資格も取りました。昨年春に定年退職するまで松江市の森脇医院に31年間勤めていました。当時は効果の高い薬や点滴もなかったので、貧血と闘いながら学校へ通い、5〜6時間の透析の間にも勉強です。決して楽ではありませんでした。

 しかし、いざ仕事を始めてみると、基本的な医療の知識やデータの読み方などを学んだおかげで、それまでは漫然と受けていた透析治療のことがよく理解できるようになりました。

 もともと医療の道を目指していたわけでもなく、病気をきっかけに始めたことですが、さまざまな研究会や学会で多くの医療関係者と話をすることができましたし、つながりもでき、現在の活動にも大いに役立っています。

―県内の腎臓患者の現状と今後の課題について。

 患者数の割合では、昔と比べて若い世代はかなり少なく、60代以上がほとんどを占めています。年金暮らしの高齢者が多いにもかかわらず、病院は沿岸部に集中しています。中山間地から2〜3時間もかけて透析に通うのは非常に困難なことですので、全国的にみても重要な課題です。地域によっては自宅まで送迎してくれる病院もあります。そのような輪が広がっていけばいいですね。

 通うのが難しくなったら、今度は自分の居場所を探さなければなりません。高度な医療や食事療法を受けたくても、経済的な余裕がないと行くことができません。はたして、高齢の透析患者さんがひとりで生活できるのか、病院に通うことができるのか、施設に入居できるのか。そういった課題を行政と相談しながら追究し、解決しなければならないと思います。


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