地域医療崩壊の危機に抗する / 2030年の地域医療が、いまここに

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島根県済生会江津総合病院 中澤 芳夫 院長

なかざわ・よしお ■島根県立松江北高校 卒業 1982 年 島根医科大学 卒業 1986 年 島根医科大学大学院医学研究科修了同 年4月 島根医科大学医学部附属病院 助手同 年7 月 皆生温泉病院 副院長 同 年10 月 皆生温泉病院 院長 1987年 島根医科大学医学部附属病院 助手 1988 年 松江赤十字病院 循環器科副部長 2001 年 島根県済生会江津総合病院第3内科部長 2002 年 島根県済生会総合病院 循環器科部長2006 年 島根県済生会江津総合病院 副院長2015 年 同病院 院長

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 当院は2次医療圏の基幹病院、救急告示病院として救急患者はもちろん、急性期から回復期を経て慢性期まですべてのステージにおける医療を手がけています。

 近年、診療報酬や介護報酬の改定などが行われたため、医療福祉を取巻く環境はかつてないほど厳しい状況にあります。当院では高齢化社会に対応するため、グループ内に特別養護老人ホーム「白寿園」と介護老人保健施設「高砂ケアセンター」を擁し、地域で一貫した医療ができる体制をとっています。

 当地域の特徴は、高齢化と人口減少が著しいことでしょう。医療圏としては4万人弱の人口を抱えていますが、医師不足は深刻で、看護師、薬剤師や理学療法士、作業療法士も足りません。実際、当院には35人の医師が在籍していた時期もありましたが、現在では14人しかいません。

 2006年に新築移転した300床の総合病院ですが、これだけ大きな病院をたった14人の医師で、しかも救急体制を維持しながら運営していくことは想像以上に困難なことです。ひとりの医師が過労で倒れてしまうと病院機能が格段に落ちますので、医師を守ることも院長としての重要な任務になります。

 立派な病院建物はあっても運用する人がいない状況、この地域の医療はすべてがそこに集約されているでしょう。人口が少ない割に医療圏の面積は広いので、医療難民を生まないためにもなんらかの形で病院が存続する必要があります。

 団塊の世代が高齢化を迎える2025年問題については、この地域では当てはまりません。すでにその先の未来、2030年問題ともいえる状況があり、町が自然消滅しそうな状況があるんです。

 どうやって医療を支えるのか、ふつうの社会生活を維持できるのか......このままでは生き残るのに精一杯ですが、人がいれば戦略を描くことができる。なんらかの形で総合医が集まってくるような仕組みを作らなければなりません。

 人工減少社会で地域自体をどう支えるかという問題意識でもあります。地域を出てしまった人間は帰ってこないんですね。これは日本全国、あちこちで起こっている現象ではないでしょうか。


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