「医療の担う部分は当然大きい。でも、共感や精神的なサポートは、むしろ私たち経験者のほうが担えることがあるので、分担・連携して、がん患者さんやご家族を支える仕組みをつくりたい」。インタビューの最後に松本さんは、医療者に向けてこうコメントした。
NHKの契約職員として働いていた33歳の時に子宮頸がんに。医療が専門だったことなどから、愛媛県がん対策推進協議会委員に選ばれた。だが一人では何もできないと痛感し、2008年、おれんじの会を発足させた。
会員数はおよそ100人。2012年からは、県の補助金を受けて院外で常設のサロンを運営している。
「サロンには、患者、経験者、家族、遺族などいろんな方が来られます。同じ経験をして研修を受けたピアサポーターがお話を聴かせていただきます。医療者にも家族にも言えないつらさに寄り添いたいと願っています」。
県のがん対策を協議する会議にも委員として参加している。「意見の言える場があるのは大切。愛媛県は患者や家族の声を聞き取ってくれる環境が整っていると思う」。
10月17、18日に松山市城山公園内を24時間歩いてがん征圧を訴える「リレー・フォー・ライフ・ジャパン2015えひめ」を開く。
患者会の活動で大事なのは、「何があっても継続し、取り組みは行政や医療機関と連携すること。そして、地域に出ていくこと。患者会の集まりに来られない人は自宅で孤立しているかもしれません。在宅で必要な医療は提供されても、常に情報が不足し、さまざまな痛みや悩みを抱えている。そこに患者会がどうアプローチできるかが今後問われると思います」。
問い合わせは「がんと向き合う人のための町なかサロン」 松山市末広町17-9
TEL:089-997-7638(松山市駅から徒歩7分、子規堂斜め向かい)