「歯学から口腔医学へ」を継いで

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学校法人 福岡学園 福岡歯科大学 水田 祥代 理事長

1966 年九州大学医学部卒、米空軍立川病院インターン、1968 英国リバプール大学附属小児病院医師。九州大学医学部附属病院医員、助手、講師、福岡市立こども病院・感染症センター小児外科部長、九州大学医学部小児外科学講座助教授の後、1989 年同教授、2004 年九州大学病院長、2008 年九州大学理事・副学長。学校法人福岡学園・福岡歯科大学常務理事を経て2015 年3月から現職。

 今年3月、田中健藏前理事長の逝去に伴い、学校法人福岡学園の理事長に就任した水田 祥代氏。女性初の国立大学病院長として九州大学病院の院長を務めるなど、女性医師の先駆者でもある水田理事長に、同法人が運営する福岡歯科大学の特徴や女性医師・歯科医師への思いを聞いた。

―前理事長が亡くなり、急きょの就任でしたが。

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 2011年8月から常務理事を務め、田中先生のそばでいろいろなことを教えていただいてきました。ですから、亡くなられた時、自分が理事長にふさわしいかどうかはともかく、田中先生が一生懸命つくられてきた福岡歯科大学、そして福岡学園をきちんとしていこうという気持ちはすぐに湧いてきましたね。急ではありましたが、理事長に選ばれた時には、ご遺志を受け継ぐ覚悟は固まっていました。

―前理事長は「歯学から口腔医学へ」を掲げていましたね。

 今、歯学・医学領域の進歩によって、歯やその周辺組織を含めた口腔の状態が全身の健康に影響を及ぼすことが分かってきています。

 口の中のケアが十分でないと口腔雑菌が全身に回り、感染症を起こします。自分の歯で食事をかんで食べることで、健康寿命も長くなるんです。口腔常在菌と糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞などの全身疾患が深い関係にあることや、口腔機能が脳機能に影響することが、医療人の間では常識的なことになってきています。

 ですから、歯科医師は医学一般の基本的な教育を受けた上で、口腔疾患の専門的知識、技術を身につけなければなりません。福岡歯科大学には附属の医科歯科総合病院がありますから、一般医学のカリキュラムを積極的に取り入れています。

―歯科医師の活躍の場が広がっているということでしょうか。

 むし歯治療だけではなくなっています。周術期、特に術前の口腔ケアによって、術後の感染症を予防できることが分かり、多くの病院で周術期の口腔ケアが行われています。

 本学附属の病院でも手術を受ける患者さんの口の中の状態をチェックしています。チーム医療の現場に歯科医師、歯科衛生士が入ることが非常に大事になっているんです。

 高齢化社会で果たす役割も大きくなっています。今後、在宅へのシフトが進み、在宅歯科医療の需要はますます高まります。

 関連の介護老人施設では、大学の口腔歯学部の学生や、福岡医療短期大学の歯科衛生士、介護福祉士を目指す学生が実習し、高齢者に対応できる知識や技術を習得しています。本学の高齢者歯科の先生たちも、附属施設での口腔ケアのほか、依頼を受けて附属施設以外でも口腔ケアにあたっています。 

 さらにこれからは口腔の状態を定期的にチェックして、口腔内の疾患、ひいては全身疾患を予防する、「口腔が全身を守る」時代です。昔は歯が悪くなったらすぐ抜いていましたし、現在はインプラントなどの技術も進んでいますが、自分の歯に勝るものはありません。

 「歯科医師が多すぎる」という統計もありますが、胎児期から高齢者まで人生のあらゆる時期に歯科医師が関わっていけば、むしろ足りないぐらいだと考えています。

―今の女性の活躍はどう映りますか。

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学校法人福岡学園が経営する福岡歯科大学

 女性の歯科医師も近年増えています。本学の学生も40%近くが女性で、しかもとても優秀ですね。でも結婚、育児で辞めてしまう人がいるのが残念です。

 女性が仕事を続けていくためのアドバイスがあるとすれば「プライオリティ(優先順位)は自分で決めなさい」ということです。結婚して、子どもを産んで、あれもしたい、これもしたい、と言う人がいますが、今、自分にとって何が一番大事かということを自分自身で決めることが大切です。

 「今は仕事よりも子どもを産んで子育てを一生懸命したい」と思ったら、そうすればいいんです。スパッと休んで、産んで、何年か後に必死で仕事をすればよいでしょう。「休んだら同級生から遅れる」と言う人もいますが「遅れて何が悪いのでしょうか」と思うんです。必ず追いつけます!

 私には子育ての機会はありませんでしたが、母を自宅で10年間介護しました。九州大学の教授、理事、副学長、病院長もしていた時代でしたから、大変と言えば大変でしたがそれなりに楽しかったですよ。何でもかんでも自分ひとりでは無理だと思い、お手伝いの人を頼みました。費用は大変でしたが、それも自分自身のプライオリティの問題ですよね。そのおかげで私は教授、病院長、理事・副学長の仕事をまっとうすることができました。女性たちは、何もかも自分ひとりでという呪縛から、解き放たれたほうがいいと思います。

 でも、医師の世界も歯科医師の世界もまだまだ男性社会だと思います。これからは男性も女性も意識を変えて「チャンスも評価もすべてに平等で」と言いたいですね。

―最後に先生が医師を目指されたのは。

 医師・歯科医師は一生勉強できる非常にいい仕事だと思います。私は6歳の時に中耳炎で九州大学附属病院に入院した時に「大きくなったらお医者さんになる。九州大学で勉強する」と決めて医師になりました。

 子どもと子犬が無条件に好きなので子どもに関わる科に、と思い、外科のダイナミックさに魅かれて、小児外科医になりました。

 今は、医師として、大学人として、とても忙しい毎日ですが、やりがいがあり、楽しく充実した毎日を過ごしています。この仕事を選んで、本当に良かったと思っています。

学校法人福岡学園グループ

  • 福岡歯科大学
  • 福岡歯科大学医科歯科総合病院
  • 福岡歯科大学口腔医療センター
  • 福岡医療短期大学
  • 介護老人保健施設サンシャインシティ
    (関連施設)
    社会福祉法人学而会
  • 特別養護老人ホームサンシャインプラザ
  • 特別養護老人ホームサンシャインセンター(平成28 年2月開設予定)

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