新しい治療法の開発にむけて ― 最良の医療を提供し、新しい有効な治療法を開発する ―腫瘍内科学について、大分大学・白尾教授に聞く

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大分大学 医学部腫瘍・血液内科学講座 白尾国昭 教授

しらお・くにあき ■鹿児島県立甲南高校卒業 
1983 年 日本医科大学卒業  
1988 年 国立がんセンター中央病院レジデント
1991 年 同内科医員 
1997 年 同総合病棟部医長  
2007 年 大分大学医学部臨床腫瘍医学講座教授    
同腫瘍センター長  
2013 年 同腫瘍・血液内科学講座教授      
同輸血部部長      
同地域医療連携センター長

日本では歴史が浅い

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 腫瘍内科は、がんに対する薬物療法を専門に扱う領域です。日本では腫瘍内科医が少なく、その存在もまだ一般的ではありません。

 なぜなら、かつては薬物療法があまり効かない時代があり、がん治療といえば手術が主体だったからです。診断する内科医と手術する外科医がいればそれで十分だったんですね。欧米では薬物治療や内科的治療専門の医師も多い。日本でも腫瘍内科の専門医が少しずつ育ち始めています。

がん治療のコーディネーター

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大学に残る強みは、医師・研究者としての基本姿勢が身に着くことです。役に立つ技術だけではなく、基本を身に着けることは長い目でみれば医師としての財産になります。

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 「医療の専門性」といったときに、たとえば循環器内科では心臓、呼吸器内科では肺などについて専門性を高めますが、腫瘍内科は、がんについてはすべての臓器について対応します。そのため、臓器横断的な内科の基本的知識が必要ですし、各臓器の基本的な知識も必要になります。当然、がんについての専門性も高めなければならず、幅広い知識と経験が必要になるのも、腫瘍内科の特徴かもしれません。

 腫瘍内科医は専門の化学療法や内科的な治療ができることが最低限必要ですが、もうひとつがん治療においてのコーディネーターという重要な役割があります。

 がん治療は、外科手術や薬物治療、放射線治療から緩和治療まで一連の流れがあって完成しますが、こういった医療の考え方は10年前の日本にはなかったんです。その原因のひとつに腫瘍内科の不在があった。

 各専門の医師が集まって治療の方針を決めるとき、特に腫瘍内科医は全体の流れを頭に入れなければなりません。そのうえで、外科手術がどういう意味をもつのか、あるいは抗がん剤の副作用の把握や、放射線治療、緩和医療など、治療全体の的確な理解と交通整理をすることになります。

 今後、ますます需要が増す専門領域だと自負しています。

エビデンスの重要性

 一般的に、抗がん剤は副作用が強いといわれていますので、投薬効果が高く、かつ副作用が少ない抗がん剤の開発を目指しています。

 研究を行うにあたっては、確実なエビデンス(検証結果・臨床結果)を追究することに尽きるのではないかと思います。確立した方法論の下で着実に段階を踏んで結論を出すという基本の重視ですね。研究の世界ではさまざまな情報が飛び交いますし、正反対の結論が飛び交うこともあります。ですから、正しい方法論に乗っ取って情報を整理し、現段階ではこれが一番正しいという結論を出さなければなりません。

 均霑化(きんてんか)といいますが、がん医療については全国のどこでも一定レベルの医療が受けられるようにするのが国の方針です。つまりはエビデンスのある良質の医療を保証するということであり、正しい方法論にのっとった王道の研究が必要だということではないでしょうか。


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