第29回日本臨床内科医学会 河北 誠 学会長 特定医療法人 萬生会 理事長
10月11日(日)、12日(祝)、熊本市のホテル日航熊本で第29回日本臨床内科医学会が開催される。公演演題は、口演・ポスター展示あわせて56題が集まった。
同学会の学会長を務める特定医療法人萬生会の河北誠理事長に開催にかける意気込みを聞いた。
10 月11 日~ 12 日、熊本で第29 回日本臨床内科医学会
臨床内科医学会は、内科クリニックの医師が中心の学会で、全国約16000人の会員が在籍しています。
持ち回り開催で29回目の今年は熊本で開催することになり、私が学会長を拝命しました。
私は、特定医療法人萬生会の理事長に就任する前は、熊本大学医学部第二内科で血液学を研究していました。会長講演では、当時の研究テーマであった赤血球造血因子について、腎性貧血の特効薬として知られる「エリスロポエチン」の開発秘話をお話しする予定です。
腎不全や人工透析患者には貧血が頻発します。以前は輸血するしか対処法がなく多くの人が苦しんでいましたが、エリスポエチンの登場で、輸血の必要がほとんどなくなり、現在、世界中の医療機関で使用されています。
メインテーマは「内科臨床 明日への道標」
京都大ipS細胞研究所副所長の中畑龍俊副所長の特別講演では「ipS細胞が切り開くこれからの医療」をテーマに疾患の病態解析やipSの臨床応用に向けた研究の現状を語ってもらいます。
また「くまモン」の生みの親としても知られる蒲島郁夫熊本県知事や坂田ジュニアゴルフ塾を主宰する坂田信弘氏の市民公開講座をかねた講演を予定しています。
熊本の医療の歴史は古く、宝歴6(1756)年、肥後藩主細川重賢公が創立した医育寮「再春館」が日本の公立医学教育の始まりとされます。
世界で初めて破傷風の血清療法を開発し、ペスト菌を発見した北里柴三郎博士は熊本県出身で、この医学校で初期教育を受けました。そういった背景も含めて「熊本藩の医学教育と民間医療」の教育講演も予定しています。
わが国は世界に類をみないスピードで超高齢化社会へ突き進んでおり、社会保障費は増大する一方です。限られた社会資源をどのように分配し、国民の健康福祉を維持していくかが大きな課題です。今学会が医療の現在と将来について語り合える場になれば幸いです。
私が理事長を務める医療法人萬生会は、今年で創業130周年を迎えました。2002年に理事長に就任して以来、将来の医療需要を見すえて在宅医療に取り組んできました。現在の体制になるまで10年以上の歳月を費やしましたが、軌道に乗り始めたと実感しているので、今後も在宅に力を入れていくつもりです。
教育講演プログラム
- 医療政策の動向と次期診療報酬改定
- 高齢者医療におけるNSTの意義
- エボラウイルス病・MERS・デング熱などの国際感染症
- 総合診療専門医の育成
- ワクチンと予防接種
- CKDとAKIの新展開
- AIDS/HIV感染症の今
- アナフィラキシーガイドラインと対策
- 熊本藩の医学教育と民間医療