今年度中には学会開催も
ヒトの体や臓器などを描いたイラストや図説といったメディカルイラストレーションに特化した日本初の展覧会「知られざるメディカルイラストレーションの世界―描かれたからだの神秘」が佐賀大学美術館(佐賀市)で開かれている。8月23日(日)まで。入場無料。
出展したのは、病理医、外科医など現職医師のほか、看護師や獣医の資格を持つイラストレーター、川崎医療福祉大学学生など22人。会場には、肺葉などの構造を細かく描いた作品や、手術の工程を分かりやすく示した絵、医療マンガなど102点がずらりと並び、訪れた人が足を止めて見入っていた。
メディカルイラストレーションの特徴は、画像などと違い、ポイントを絞って表現された分かりやすさ。アメリカやカナダでは大学に修士課程があり、専門性の高さが認められているが、日本ではまだ発展しておらず、それぞれのイラストレーターが独学で描いている状況だという。
現状を変え、メディカルイラストレーターの質向上にもつなげたいと、「日本メディカルイラストレーション学会」設立の準備を進めている佐賀県医療センター好生館の明石道昭病理部長は、「患者さんへの説明や医療者同士のコミュニケーションに、メディカルイラストレーションの果たす役割は大きい」とし、「これを弾みに、遅くとも今年度中には第1回の学会を開催したい」と話した。