新病院は救急病棟が3倍の面積に

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静岡赤十字病院 磯部 潔 院長

磯部 潔(いそべ きよし) 1975 慶應義塾大学医学部卒業 1981 静岡赤十字病院着任 1992 同外科部長 2006 同副院長 2012 同院長就任 ■資格:日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医、日本禁煙学会専門指導医 ■専門分野:上部消化管(食道・胃)

 静岡赤十字病院は1933年6月11日、日本赤十字社静岡支部病院として創設。第二次世界大戦中は、陸軍病院として将兵の治療、従軍看護師の養成などを行なっていた。

 現在、3期に分けて新病院を建設中。来年秋にすべての工事が終了する予定だ。

 磯部潔院長に新病院や自らが担当するニコチン依存症外来などについて話を聞いた。

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■静岡の医療の現状

 静岡市には当院をはじめ、静岡県立総合病院、静岡市立静岡病院、静岡済生会総合病院、静岡徳洲会病院など多くの大病院が存在します。

 人口70万人ほどの市に、大規模な病院が乱立し、救命救急センターを持つ病院も3つ。100万人規模の都市に1つのセンターが理想だと言われる中で3つもあるわけで、医師や看護師の確保に頭を悩ませています。

 病院創設当初は公的資金が投入されていましたが現在は独立採算。全国どの赤十字病院も経営に苦労しており昨年度は約7割の病院が赤字でした。消費税増税と診療報酬の改定が大きな負担となっています。

 赤十字の使命を果たしたうえで、地域に根差した急性期病院としてどう活動していくかが今後の課題ですね。

■建設中の新病棟

 救急外来は現在の1.7倍、救急病棟は3倍の面積に拡充します。救急患者専用の出入り口を設置するので、救急車の受け入れも、これまで以上にスムーズに行えます。また周産期医療の充実のために急な出産にも対応できる分娩室を整備する計画です。

■献身的な姿勢

 現在は病院の魅力をアピールし、いかに多くの優秀な人材を確保できるかで病院の能力が決まる時代です。経営陣が今後の目標を示しても、それを実行できる人材がいないと結局は絵に描いた餅で終わってしまうんです。

 限りある予算で人材を確保するとなると、待遇面に限れば公的補助がある自治体病院に一日の長があります。しかし、医療人、とりわけ赤十字の基本理念は「奉仕の精神」です。待遇では、ほかの病院に太刀打ちできないかもしれませんが、医療人として奉仕の精神を持った志高い人材に来てもらいたいと願っています。

 国民皆保険制度や高額療養費制度などがある日本は恵まれています。ヒラリー・クリントン氏が、来日時に医療現場を視察した際、日本の医療制度をアメリカに取り入れるのは無理だと感じたそうです。献身的な医療人がいるからこそ初めて成り立つので、アメリカでは難しいと思ったようですね。

■日本の医療の行く末

 これから日本の医療のかじ取りをいかに行うかを考えたとき、現在の新自由主義的資本主義体制のままでは、いずれ限界を迎えるのではないでしょうか。

 アメリカや中国は、一部の富裕層が富の大半を握っています。日本はまだそこまではいっていませんが、格差は確実に拡大しつつあります。日本古来の助け合いの精神を、もう一度取り戻す必要があると思っています。

■職員たちが考えた行動指針

 職員の行動指針を職員自ら意見を出し合って作成しました。

 良き社会人であるために「自分から笑顔であいさつする」、「感謝の気持ちを『ありがとう』の言葉にして相手に伝える」、患者と職員、双方の満足のために「思いやりを大切に相手の立場にたって行動する」、「職種の枠を超えて意見交換のできる、良好なコミュニケーションを心がける」などで、一見どれも基本的なことだと思われるかもしれませんが、多忙な業務に追われているとおろそかになりがちなものばかりです。

 今後は、さらに細かい行動指針を作り、日々、業務の内容を精査し続けることが必要だと感じています。

 私が外科医になって30年が過ぎました。手術は低侵襲で行なうのが基本です。余計な侵襲を加えると出血するし、患者さんの回復も遅れます。最小限の傷で最大の効果を上げる、病院経営に当てはめると最小限の経費で最大の効果を上げるといったところでしょうか。

■ニコチン依存症外来とタバコの害

 頭頸部がんの原因のほとんどが喫煙で、喉頭がんに至っては100%。また紙巻タバコの登場で20世紀初頭に比べ、肺がんになる人が増加したとも言われています。

 喫煙者の大半は、10代でタバコを吸い始めます。若いときは誰しも「大人に見られたい」、「格好良く見られたい」と思うものです。

 ニコチンは毒物指定されていますが、食品でもないし、薬でもない、規制の網の目を縫うかのように容認されているのが現状です。

 私はこれまで外科医として、喫煙が原因のがん患者を数多く診てきました。そうならないためには、とにかく禁煙するしかありません。ですから、禁煙治療を行う専門外来「ニコチン依存症外来」に力を入れているんです。


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