松江保健生活協同組合 総合病院 松江生協病院 高濱 顕弘 院長
●生協病院の特徴など。
組合員が出資した基金で建てられた生協病院ですので、まずは組合員さんの「安心してかかれる自分たちの医療機関」という願いに沿った方針を大切にしています。
また、1950年に「松江大衆診療所」が発足し、その後の歴史のなかで病院自体も大きくなって地域住民の方の信頼を得ることができました。組合員さんに限らず、「地域の病院」という役割も当然果たしていかなければなりません。
●周辺地域のニーズは。
松江や周辺地域の病院の役割分担を考えなければなりません。地域包括ケアシステムのなかではそれぞれの病院が託された機能を充実させ、あるいは機能を分割させるという方針があります。そういった状況にあって自分たちの病院がこれまでどういう役割・機能をはたしてきたか、あるいはこれからどうするのかという再認識を迫られている時期でもあります。
急性期病院として、松江市周辺では主に松江赤十字病院と松江市立病院が大きな規模と充実した機能を保持しています。当院は規模でいうと3番目ということになります。ほかには慢性期やリハビリを中心に診ている病院がありますし、松江医療センターや玉造病院のように特定の診療科が充実した病院もあります。
地域包括ということでいえば、急性期を充実させる病院がある一方、いわゆる後方支援として急性期治療が終わった患者さんを受け入れ、あるいは地域の開業医との連携を図る役割の病院があります。
そういった役割分担のなかで、当院は急性期や回復期、さらにリハビリもやりますという、良く言えば総合的な役割というか、厳しいことを言えば中途半端な立ち位置になっています。
これまで大規模高機能のケアミックスという立場をとってきましたし、これからもそれは変わらない、変えない部分であろうと思います。
●あえて、中間的な役割を果たしている。
中間的なニーズは確かにあるんです。その立場に安住せずに、病院としてどのような特色を出していくか、ということが大切でしょうね。
高齢の患者さんは急性期治療が終わっても合併症をたくさん持っているので、慢性期の病院に移ってきちんとケアできるのか。難しい患者さんについてはそこを引き受けるのも当院の役割だと思います。
しかし、本当に「中受け」だけでやっていけるのか、あるいはそういった役割だけでいいのか悩ましいところです。
当院は2次救急病院ですが、狭心症や心筋梗塞、不整脈などの心臓疾患に対する内科的なカテーテル治療については県内でもトップクラスの件数を誇っています。また、脳梗塞の内科的急性期治療についても他の急性期病院に劣らないと考えています。
急性期治療が終わった患者さんのリハビリ回復期を診ていくのも役割になるでしょう。中途半端にならないよう自覚したうえでそれぞれの機能をしっかり維持していきたいと考えています。
●新旧病棟が混在しています。
増改築がようやく一段落しました。
療養型病院もあったんですが、現在は医療を当院で診て、介護は旧リハビリ病院、現・老健「虹」で診るという体制を取っています。院内でもケアミックスであるし、法人のくくりのなかでも各病期にあたって各施設で対応するということです。
全国的に、地域包括ケアシステムを2次医療圏の中で構築しなければなりません。生協はもともと多様な医療施設・介護施設を持っていたので、同じようなシステムをすでに構築していたんです。今後はそれを地域にも広げていく必要があり、その中で機能分担と機能の連携を再編していくことになります。
反省点としては、これまでは病院完結型の医療になりがちで、他院や他機関との連携が必ずしもうまくいっていなかった面があります。生協内と外の医療機関、地域との連携強化を図ることが今後力を注ぐべきことだと思います。