本当の「チームワーク」が育まれる舞台裏をのぞかせてもらえる1冊。
世代や性別を問わず注目を集め、熱狂的なファンも多い高校野球。春と夏、甲子園球場の土を踏むことを夢に、日々休まず練習に励む球児たちがつづる「野球ノート」を紹介。
1年生から3年生まで、毎日の練習を終え、必ず手書きで、その日「気づいたこと・感じたこと・学んだこと」を素直につづる。監督をはじめ、部員のみんなが読むノートの描き方は、学校や個人によって異なる。
チームが勝つために、「本音」でつづることが求められるノート。
監督や先輩への尊敬、メンバーやマネージャーへの感謝だけでなく、朝早く起きて弁当を作って学校へ送り出し、風呂に湯を張り帰宅を待つ母親や家族への感謝がしたためられている。1人1人の癖のある字に、味わいを感じ、胸が熱くなる。
「いい日誌というのは個人のことより、チームのことが多めに書かれています。どうしたらチームがひとつになるかとか、どうやったら日本一のいいチームになるかとか。そうなるために自分はどうすればいいかということが自然と書かれている日誌が、『日本一、心を持った日誌』ですね」。都立の雄=小山台高校・福嶋正信監督の言葉が心に残る。
社会や企業の中で求められる「業務日報」を書く目的・意味・意義について、「チームの一員としての私」の心根を見つめなおすのに、快音が響く。