勝負の決め手は「専門性の高さ+人間力」

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医療法人厚生会 虹が丘病院 冨永 雅博 院長

冨永 雅博(とみなが まさひろ) ■略歴 1989 長崎大学医学部卒、同附属病院第一内科研修医 1990 光晴会病院、長崎市立市民病院 1991 長崎労災病院 1994 県西部浜松医療センター 1996 昭和会病院 1997 長崎大学医学部附属病院第一内科医員 1998 厚生会虹が丘病院 2004 同病院内科部長 2006 同病院血液浄化センター長 2011 同病院副院長 2014 同病院院長 ■資格 日本内科学会認定医 日本透析医学会認定医・認定指導医 医学博士(乙) 日本アフェレシス学会認定専門医

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―出身は。

 長崎市の北隣に位置する時津町というところです。私が小学生のころは田舎町でしたが、現在は工業や商業地帯として発展し、若い人が多い町です。人口構成も、長崎市内はすでに75歳以上の後期高齢者が15歳以下を上回っているのに比べ、時津町は75歳以上より15歳以下が多いんです。

 私は長崎大学出身で、透析を学ぶため浜松医療センターで勤務した約1年半以外はずっと長崎在住です。日本での西洋医学発祥の地であり、歴史的な意味合いでも医学を志す者にとって少し誇りをもてる場かなと思います。

 私の家は、医者とは全然関係ない家系でしたが、母親の「医者になりなさい」という言葉を受け、医師を目指しました。

 その母は60歳前に物忘れがひどくなってしまいました。今考えるとアルツハイマー病だったのではと思います。医学部に合格した時は飛び上がって喜んでくれましたが、国家試験に合格し医者になった時は、理解できていないようでした。

 ただ、病と付き合う中でも父が見舞いに顔を出すと分かっているようで、夫婦の絆を感じました。

 20年を超える歳月、認知症の母を、父をはじめとする家族みんなで支え、昨年、見送りました。最期は、私が仕事を通じて知り合った方々から贈られたたくさんの花に囲まれ、旅立つことができました。

 父が涙を流し「良かった、雅博のおかげでこんなに花に囲まれて逝けたたい」と言ってくれました。「一生懸命育てた甲斐があった」と思ってもらえていたらいいですね。母の希望で医師になりましたが、後悔したことは一度もありません。いろいろな患者さんやご家族がいらっしゃるため、難しさやつらさはありますけどね。

 終末期など、治療の限界の判断や延命措置については人それぞれ、またご家族の中でも考え方は違ってきます。最期を遂げる時にできるだけ苦痛がないよう、「自分がそういう状況になった時に何を希望するかということを、よく考えて下さい」とご家族にはお伝えしています。

―院長就任から1年です。

 院長職は非常にプレッシャーがあります。経営と診療のバランスという「民間病院の難しさ」に挑んでいます。

 院長室はほとんど「応接室」になっていて、普段はあまり院長室にはいないようにしています。現場で先頭に立っていると、他の先生方にも「キツイけどがんばっていきましょう」と言いやすい。

 現場にいる方がいろいろな情報が入り、相談もできますよね。

―地域医療の問題点は。

 急速に進行する少子高齢化社会の影響を受け、当院でも80歳以上の入院患者さんが占める割合は50%を超えています。

 高齢者医療は臓器や病気のみにとらわれずに患者さんの意思や生活に配慮しながら苦痛や悩みを解決することも重要です。

 また、高齢者は、さまざまな病気を併発している患者さんが多いため、多くの診療科、さまざまな職種のスタッフが関わる必要があります。

 当院は150床の比較的小規模の病院ですが、セールスポイントは1人の患者さんに関して、スタッフ間で気軽に相談や検査依頼が出来ることです。

―新しい取り組みは。

 高齢化する地域医療に対応するため、昨春から「地域包括ケア病床」を設置しました。この病床は、急性期から回復された患者さんがリハビリ等を行ない、在宅(施設)復帰へ向けての準備をする病床です。大学病院から在宅への橋渡し目的の入院もこの病床を利用できます。

 また、昨夏から消化器内科の先生を中心として「カプセル内視鏡検査」を導入しました。私もモデルになって検査したところ、腸にポリープが見つかり、取ってもらいました。普通は、胃カメラまでで、腸のカメラまでは受けない傾向にあります。

 昨秋から本格導入しましたが、カプセル内視鏡で検査をした半分の方にポリープなどが見つかっています。場合によってはガンの発見に至ることもあります。

 実際に診断、組織検査をするにはもう一回内視鏡検査が必要ですが、大腸カメラに抵抗がある方にはいい方法だと思いますし、早期発見に役立ちます。

 カプセル内視鏡の大きさは約3㌢で、意外と違和感なく飲み込むことができます。

 出るまでの時間としては、早い人では、朝飲めば昼には出るようですが、胃から十二指腸へ行く出口である「ピロルスリング」という細い輪を通るのに時間がかかり胃の中に停滞してしまったり、人によってはS状結腸で苦戦したりするようです。それを早く出させるための工夫が進んでいます。

 国内でも比較的先端技術と言えるカプセル内視鏡検査は、解析にも緻密さが求められ、診断される消化器内科の先生は見逃さないようチェックが必要なため、作業は大変だと思います。

 この他、女性専門の外科外来に、週に1回、非常勤の先生に来ていただいていますが、できれば常勤になっていただきたいです。男性には言いにくいようなことでも女性医師には話せます。フランクに話をしているうちに、他の病気が見つかるかもしれません。婦人科系疾患を早期発見できれば、患者さんを救える可能性があります。

 今は医療制度がめまぐるしく変化し、医療も大変な時代ですが、医師としての志を枯らさず、「患者さん第一主義」という当院の理念を忘れないことが大切だと思います。

 一人暮らしのお年寄りや老老介護などの高齢化の問題も切実ですが、いい時代が来ることを信じて「がんばらんば」と思いますね。

―医師を目指す人へ。

 長崎といういい町でありながら、若い勤務医の減少が進んでいます。地域医療に興味を持っていただき、中央で研さんを積むにせよ、その力を故郷に戻って発揮してほしいです。


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