「誠の医療」を実現させるために

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一般財団法人積善会 愛媛十全医療学院  松田 芳郎 学院長

松田 芳郎(まつだ よしろう)
1968 愛媛県立松山東高校卒業 1974 山口大学医学部医学科卒業 同研修医 1975 玉造厚生年金病院医員 1976 山口大学医学部附属病院医員 愛媛大学医学部附属病院助手 1979 文部省在外研究員Oxford 大学Nuffield Orthopaedic Centre 勤務 1983 済生会西条病院整形外科医長 1986 愛媛大学医学部附属病院整形外科講師 2000 愛媛大学医学部助教授 2003 宇和島社会保険病院院長 2013 愛媛十全医療学院学院長 ■資格:日本整形外科学会専門医、日本脊椎脊髄病学会指導医、日本整形外科学会脊椎脊髄病専門医 日本プライマリ・ケア連合学会認定医、指導医 他。

 愛媛十全医療学院は1979(昭和54)年開校と歴史が古く、これまでに2300人以上の卒業生を全国各地の医療現場に送り出してきた。国家試験合格率は、各学科ほぼ90%以上を誇り、その名声は全国にとどろいている。

 「博く学び、深く思ひて、厚く思いやる」という校是のもと、医療技術はもちろんのこと、倫理観の高い医療従事者の養成に日々、尽力している。

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―愛媛十全医療学院について教えてください。

 当学院は現在、理学療法士、作業療法士の養成校です。歴代学院長は、徳島大学学長、愛媛大学教授、愛媛医療大学学長などの経歴を持つ方たちが務めてきて、私も宇和島社会保険病院(現在の地域医療機能推進機構宇和島病院)の病院長などを歴任後に就任しました。

 この種の学校としては歴史が古く、以前は中四国はもちろん、近畿や九州、関東出身の学生が数多く在籍していました。しかし近年は、全国各地に同様の学校が激増し、学生集めに苦労していて、県内の学生が中心です。

 開校から35年、日本の理学療法、作業療法の歴史をつくる一翼を担ったとの自負があります。そのプライドを胸に抱き、これから50年、100年と歴史を積み重ねていきたいと考えています。

 我々の強みは、附属病院があることと、国家試験の合格率の高さです。

 受験生にアンケートを取ったところ、やはりこの2つに魅力を感じて受験してくれるようです。また先輩が全国各地にいるので、実習に行きやすいのも魅力だと思います。

 授業では愛媛大学医学部の解剖学講座と白菊会の協力で解剖学実習に参加しています。全国的にも珍しい取り組みで、画期的な教育システムです。帰ってくると人が変わったかのように勉強に打ち込む学生をたくさん見てきました。ご遺体に直接触れての実習を通して人間の尊厳に関する意識の大きな変化があるのかもしれませんね。

―今後の課題は何でしょう。

 当学院は3年課程ですが、昨今、全国的な流れで4年制を採用する学校が増えつつあります。その流れに我々はいかに対応していくかが当面の課題です。

 競争の激化による学生の確保にも取り組まねばなりません。優秀な医療人を輩出することが我々の使命です。優秀な学生に一人でも多く入学してもらうことを願ってやみません。

 これからは学校のPRにも力を入れねばなりません。理学療法士は比較的イメージしやすい職業ですが作業療法士は職業の内容がすぐには見えにくいかもしれません。一般の人にも分かるようにして、いかに高校生や保護者に興味を持ってもらえるかに腐心しています。

―学院長になって気付いたことはありますか。

 2年前まで宇和島社会保険病院の院長を務めていました。私は整形外科医ですが、学院長に就任するにあたり、中枢神経の解剖、リハビリテーション、医療倫理などを一から勉強しなおしました。学生に教えることは、自分自身の成長にもつながっていることを実感します。

 医療従事者を養成するのに、教育する側が医療から離れてしまうのは感心しません。私は週に1回、宇和島病院で診療をしていて、附属病院の診療もしています。他の先生にも臨床から離れるな、と口を酸っぱくして言っています。実際に患者さんと接することで、我々が何を求められているかを感じ取る能力を磨き続けなければなりません。

 医療の世界は日進月歩です。教師には常に進歩の先頭を歩き、教育現場にフィードバックしていく姿勢が求められます。

―医療従事者に求められるものは何でしょう。

 基本的な知識と技術をもっているのは当然で、最も重要なのは確固とした倫理観を持つことです。だから倫理の授業は、私が担当しています。

 当校は高校卒業後、すぐに入学する人と、一度社会に出た後に入学してくる人とに分かれます。社会人経験がある人は、ある程度の経験を積み、自分なりの価値観と目的を持って入学してきますが、高校卒業後すぐの人たちの中には、まだそこまでしっかりした考えが固まっていない人もいます。現場に出て、仕事をこなすにつれて分かってくることもあると思いますが、早い時期から、医療人としての倫理観、価値観を教育の場で植え付けておくことも我々の責務です。

 学問には答えがはっきりと存在します。しかし、医療の現場に出ると答えのない場面に遭遇することが必ずあります。患者さんからの相談にしても対応は一つではありません。他者への尊重の姿勢を繰り返し教え頭の中に対処法をインプットさせてあげることが必要です。与えられた問題についてのみ考えるのではなく、何が問題なのか、あるいはどこに問題があるのかを自分で見つけ、それを解決する道を探れるような医療人を育成することが重要と考えています。

 現場では毎日怒涛のごとく問題が噴出してきます。それに間髪入れず対応していかねばならないのが医療人です。

 臨床は結果が一目瞭然ですが教育は5年、10年、あるいはそれ以上たたないと結果は見えてきません。学生には一日一日を大事にしてほしい。その先には明るい未来が待っています。私たちも最大限のバックアップを惜しみません。共に学び、良き医療人を目指しましょう。


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