香川大学医学部附属病院に、手術棟 「手術室周辺の見えないところが重要なんです」

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香川大学 病院教授/医学部附属病院手術部 臼杵 尚志 部長

うすき・ひさし=1981 岡山大学医学部卒業、第二外科研修医。以降、玉野市民病院、国立病院四国がんセンター、牛窓町立病院、姫路聖マリア病院、岡山大学第二外科助手などを経て、2004 香川大学医学部手術部助教授、2005 同附属病院手術部部長、2007 同病院教授。■専門分野=消化器外科。■日本胃癌学会代議員、日本サーモロジー学会評議員・理事・理事長、日本手術医学学会評議員・教育委員・医療問題研究委員、日本医療機器学会代議員・MDIC認定委員、日本ストーマ排泄リハビリテーション学会評議員・災害対策委員、日本登山医学会代議員・編集委員・研究委員、日本環境感染学会評議員、日本医療マネジメント学会評議員、全国国立大学手術部会議常任幹事などを務める。■平成26 年度:厚生労働大臣表彰。

 今年10月完成、来年1月稼働を目指して香川大学医学部附属病院に手術棟が建設されている。地上4階、延べ床面積約4300平方㍍の鉄筋コンクリート造り。大規模災害時でも手術が継続できるよう免震構造で、中央診療棟と南病棟とは渡り廊下でつながる。

 指揮を執る臼杵尚志手術部部長に期待などを聞いた。また例年夏に岡山大学と合同で開いている、北アルプスの「夏山診療所」についても語ってもらった。

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双子の赤ちゃんは胎内でお互いに接触し合います。一卵性双生児であっても行動や表情に違いが見られ、早くも4カ月で、生まれた後の活発さなどと相関があるいう報告もあります。ひょっとすると、自分以外の誰かがいるということを、生まれる前から理解しているのかもしれません。

―なぜ医者になろうと。

 よく覚えていないんですよ。でも幼稚園を卒園する時、「医者になります」と担任に明言し、それ以降ずっと変わっていないんです。

―それから何十年も時が経ちました。そして今、手術部長の仕事とは。

 手術室の運営です。端的に言えばいかに多くの手術が効率よく安全にできるかのマネジメントです。したがっていろんな部門の調整、多職種の真ん中で右を見たり左を見たりして、あっちに頭を下げ、こっちにも頭を下げたりと...。

―手腕が問われるのはどこですか。

 うーん...。バランスですかね。医師と看護師だけじゃなくいろんな職種、診療科がありますからね。そしてバランスを取りながらも病院の経営には必ず貢献していかなければなりません。その2点でしょうか。

―新しい手術棟への期待は。

 まず手術室が広くなります。内視鏡などカメラを使いながらの手術が広まり、それに伴ってこれまでは1つか2つだった機器がいくつも必要になります。相対的に手術室は狭くなり、手術中に人が移動する時、機械の間をすり抜けながら動くようなことも起こるわけです。さらに今の建物は築30年で、あらゆるものが古くなっていますからね。

 そして、ドクターサイドでわかっている人はあまりいないと思いますが、部屋の中が手術室として成り立つためには、部屋の周囲がいかに大事かということです。

 手術室を効率よく動かすために、その準備をする場所として、機器を置いたり、配管を工夫したりと、周辺の構造や配置を考えるのが私の仕事でした。

―山岳診療所の運営をされていますね。

 登山愛好家のために全国で23カ所、山の中に診療所があるんです。その中の一つを岡山大学が運営していて、私は同大学のサッカー部に所属していて、先輩に誘われて北アルプスにある診療所を手伝うようになったんです。それがきっかけで山が好きになり、卒業してからも登り続けて、学生の面倒を見るようになりました。今年で39年目になります。

 それが5年くらい前に「にっぽん紀行」というNHKの番組に取り上げられ、さらにTBS系のテレビドラマ「サマーレスキュー」という題名で放映されました。

―どこに魅力がありますか。

 登山をする人は知っていますが、私が行っている診療所は北アルプスの一番深いところにあります。言い換えれば、そこで何かが起こった時にふもとまで最も遠い場所です。大した設備はありませんが、そこに医師がいるというのは大きいと思います。

 夜には真っ暗になるような、下界と完全に切り離された世界で、数名の学生たちと活動し、普段なら時間もなくて話さないような内容を語り合うことができるのも魅力かもしれません。

―医者になってよかったことは。

 医療に従事している人の多くが感じていると思いますが、患者さんが元気になった顔を見た時です。もう一つ言うなら、この医師という仕事を通じて知り合いになった人がすごく多いことですね。今もこうして記者さんと話しているように、いろんな方との関わりができてきます。この5月23日と24日には、第35回日本登山医学会学術集会がサンポートホール高松で開かれ、その大会長を務めることになっています。そこにプロスキーヤーの三浦雄一郎さんが来られて話をしていただけるのも、医師となり、そして山の医療と出会ったのが縁です。

―医療者を目指している人にどう助言しますか。

 医療者に限りませんが、学生にも、あるいは私の子供にも、「好きなことを職業にすればいい」と言っています。損得ではなく「どれを自分は好きか」という見方は、あとで後悔しないためにも必要なことだと思います。

 現実問題として、自分が職業を選んだ時と働き盛りの年齢とは、おそらく20年ぐらいの差があると思うんですね。一番脂が乗って働いている時に、果たして得をしているかどうかは、道を決める若い時にはわからないんですよ。でも好きなことで選んだのなら、もし得になっていなくても、自分が好きなことをやれているからと納得できます。「好きで選んだ道」を歩けばいいと思います。

―ライフワークがあれば。

 それほど大げさなものではありませんが、山岳診療所をまとめる仕事を今やっています。

 登山医学会の中に山岳診療委員会というものがあって、その委員長です。そこで求められている活動はきちんと果たしたいですね。


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