地域で必要とされることに取り組む

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古賀 眞紀子 医療法人十全会 理事長 / 早明浦病院 院長

■略歴 1975 私立土佐高等学校卒 1982 日本大学医学部卒 1984 国立療養所足利病院 1985 早明浦病院小児科 1996 医療法人十全会早明浦病院院長 1997 医療法人十全会理事長■資格等 身体障害者福祉法第15 条第1項指定医師(小児科)、日本医師会認定産業医、全日本病院協会保健指導士 認知症サポート医

JR土讃線の大杉駅(長岡郡大豊町)を降り、早明浦病院(土佐郡土佐町)へはバスで向かった。細い山道が長く続いたが、病院近く来ると急に開ける。早明浦ダムが遠くに見えた。

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―病院の周りはにぎやかですね。

 父がこの病院を建てたころは田んぼに囲まれていて周囲に何もありませんでした。建物内には老健施設も併設しており、大き過ぎるのではという不安もあったようです。

 林業が盛んな地域だったため、当院には以前から振動障害(白蝋病)の患者さんがたくさん来られていました。父が外科医であったこと、高知医大の援助を得て11診療科を併設できたこともあり、運営は順調にきています。

 病院ができたことで、周囲が発展しましたが、これは我々にとってもありがたいことです。入院に必要な衣類などが近所でそろい、患者さんにとって便利です。また周囲が栄えたことによって、患者さんもさらに増えました。

 もっともにぎやかなのは、病院の前の国道439号沿い。少し奥に入れば何十年も変わっていない景色があります。この辺りはまだ地価が上がっていないので、病院のまわりに新しい施設を作ることは、比較的容易です。

新しいことを始めやすい環境です。

 私が当法人の理事長になってから郡部で不採算と言われる居宅系サービスに力を入れてきました。土佐町は特に高齢者が多い地域で独居や老老介護の家庭が多く、地域の在宅を推し進めるためにぜひ必要だと考えたからです。さらに訪問看護、訪問診療も始めたいと思い、スタッフを集めているところです。

 またリハビリにも力を入れています。PTやOT、STが合わせて13人。病院と老健施設の通所リハビリもあり、充実していると思います。

 今後は自宅に帰れない人のニーズに応えることも考え、住居や生活支援にも取り組みたいと思っています。地域で必要とされていることに困難でも取り組む。それが我々の使命だと考えています。

―人員をそろえるために工夫したことは。

 高齢化が進む土佐町近隣で、多岐に及ぶ医療職を複数集めることは困難です。高知市など他の地域から通勤してもらうしかありません。

 高知市からは車を使えば1時間ほどで着くのですが、曲がりくねった細い山道を運転するため疲れてしまうのでしょう。定着してくれる人は多くありませんでした。

 現在は、高知と南国IC付近に場所を借り、そこと病院との間に毎日4便バスを運行しています。このサービスを始めてから辞める人が少なくなりましたし、働きたいという人も増えました。

 病院の近所には寮もありますから、希望者は近隣に住むこともできます。

 さらに、法人内には子育て中の職員が子どもを預けるための保育園も設置しています。こちらも働きやすさにつながっているようです。

 ここは山に囲まれ、夏は大変涼しいところです。「高知の軽井沢」と冗談で言う人もいるくらいですから。ただその分、冬は雪が降り、とても寒い。工夫をしないと、職員を集めるのは大変です。

 職員からの要望やアイデアをきちんと聞くことが、人材を増やすことにつながったと考えています。新しいことをどんどん始めるためにも、まだまだ増やしたいと考えています。

―ご自身は小児科医ですね。

 嶺北4町村( 土佐町のほか大豊町・本山町・大川村) に小児科医は私1人。ですから、この地域のほとんどの子どもは、乳幼児健診のころからずっと診ています。

 検診や診療で子どもたちと関わるたびに「この子たちが大人になった時に、働く場所が地域にあれば良いな」と思います。地域に産業があまり多くないことが、残念です。

 私が高知医科大学小児科学講座に入局した時に教授だった倉繁隆信先生が、当院を「嶺北の小児科医療の中心にする」と言ってくださり、現在も週1回、高知大学から小児科医を派遣して頂いています。

 それ以外の日の午前・午後は私が診ています。夜間も診療してほしいという要望がありますが、私自身は院長として、またそれ以外の仕事もあり難しい状況。対象人口が少ないという理由もあり、小児科医を増員することもなかなか困難です。

 高知県は子どもが少ない地域が多く、子どもの医療費を助成する自治体がほとんどです。

 土佐町の場合、15歳までは無料で、この4月からさらに高校生まで無料になりました。子どもの医療に関しては、医師会と行政が連携をとれば、もっとうまくいくだろうと考えています。在宅医療もそうですが、行政と協力しあう関係になりたいと考えています。


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