シニアソムリエ 久保井 剛
九州医事新報の連載が始まったおかげで、医療に関するさまざまな記事を読ませていただく機会が増えました。
私の父は数年前から認知症となり、それに関する九州医事新報の記事や、編集担当者からのお話は興味深いところです。
ところで数年前から、認知症の予防には赤ワインがよいということが浸透してきました。今回はシニアソムリエの立場でワインが健康に及ぼす効果について述べてみます。
これはワインというよりも、ブドウそのものに含まれている成分で、総合的にポリフェノールと言われているものの効用です。ワインに含まれるポリフェノールは、大別すると「アントシアニン、カテキン、クルクミン」に分けられ、特に熟成した赤ワインに、より多く含まれています。これは赤ワイン用のブドウの種に含まれているレスベラトロールというのが主な成分で、認知症だけではなく、抗ガン作用や動脈硬化の抑制にも効果があると言われています。これらのワインに含まれるミネラルの中にはマグネシウムも多く含まれています。カルシウムといっしょに摂ると更に効果があるという点で、チーズとの相性は、味わいだけでなく健康効果も相乗するといわれているのです。
ポリフェノールは熟成した赤ワインのほか、温かい産地のブドウで造られた、タンニン(渋み)の強いタイプにも多く含まれます。例えばチリやアルゼンチン、オーストラリアなどの南半球のカベルネソーヴィニョン種やシラー種が代表的です。
ちなみにカテキンは白ワインに多く含まれています。カテキンは緑茶にも含まれている成分で、主に殺菌作用があります。生食の魚介系と合わせる意味も納得ですネ。
これらポリフェノールが効果があるとはいえ、飲み過ぎては肝臓を壊すだけです。ワイングラス一杯程度が好ましいようですが、なかなかそうもいきません( 笑)。
先日、ポリフェーノルが豊富で熟成した、生まれ年1973年物を同級生と楽しみましたが、ついつい飲み過ぎてしまいました。健康に良い効果があるといわれる赤ワイン。焼酎好きの父親にももっと早く飲ませておけば良かったですネ。
私の事務所は長崎駅から徒歩十数分のところにあります。料理の指導をはじめとして、ワインの普及につながることは何でもやっており、「ワインのおいしさを知ったおかげで人生の残り半分を手に入れた」と言い切る人が増えたら本望です。長崎だけでなく佐賀まで足を延ばすことも多くあり、友人は「お前をつかまえるのは一苦労」と苦笑いしますが、フェイスブックで「クボイ ツヨシ」で探していただいたら、案外頼りになるかもしれません。