生まれ変わって地域医療をリード

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独立行政法人 国立病院機構 嬉野医療センター 河部 庸次郎 院長

かわべ・ようじろう 1981 長崎大学医学部卒。1988 米国トロント・マウントサイナイ病院留学 1992長崎大学第一内科助手 1999 同講師 2000 同助教授 2004 嬉野医療センター 副院長、2013 同院長。

2000年に国立嬉野病院(旧嬉野海軍病院)と国立療養所武雄病院(旧佐賀県結核療養所柏翠荘)が統合して国立嬉野病院として発足、 2004年の国立病院機構発足に伴って現名称に変更された。佐賀県南西部医療圏の中核病院として、急性期の循環器病や周産期医療などについて質の高い専門医療を担う。

地域医療支援病院の承認を受け、地域がん診療連携拠点病院、地域救命救急センター、地域災害拠点病院にも指定されている。付属施設・機関として、付属看護学校・地域医療研修センターを有し、佐賀県南西部における各種医療従事者の卒後研修及び生涯研修も担っている。

嬉野市は、2022年に新設される九州新幹線嬉野温泉駅を中心とした周辺整備計画で、嬉野医療センターを新駅前開発の中核施設として誘致している。新病院は新幹線開業に先行して2019年1月に開院予定。新病院について河部院長に話を聞いた。

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現在の常勤医師は70 人ほど。それぞれの専門性は保ちつつ、診療科の垣根を越えて親身に協力し合う体制ができあがっている。若い医師にむけて「緑多い嬉野で共に働き、多くを学んでほしい」と語る河部院長。

― 嬉野医療センターは新築移転が予定されています。

2016年度の着工にむけて、現在、設計と入札の準備を進めており、移転を2019年1月に予定しています。

新病院は新幹線嬉野温泉駅から約100mの距離に新築されるため、交通の利便性が上がります。また、全方位にアクセスが良くなることで、地域包括医療の拠点としての役割が強化されます。

当センターはこの新しい中心市街地で、がん・脳梗塞・心筋梗塞・救命救急、小児救急・周産期医療の「地域医療の最後の砦」として生まれ変わります。

― 地域災害拠点病院に指定されています。

災害拠点病院の指定要件を満たすため、新病院は免震構造になります。

嬉野市は地震や津波、大きな土砂崩れなどの自然災害が少ない地域ですが、高速道路での多重事故のような人為災害で一度に多数の傷病者が発生することも考えられます。突発的な急性期患者の発生に備えて、取りこぼしなく収容、治療できる体制を構築、維持することも新病院の役目です。

被災者をベッドに収容しきれない場合は、立体駐車場、1階ホールなどを避難用スペースとする予定です。

― 救急医療の強化は。

手術室は2室増やして計8室に、救命救急センター、ICU・CCUはそれぞれ2床ずつ増やして、全部で24床の集中治療型病棟とします。

患者用エレベーター(EV)、感染用EV、医療用EVとは別に、緊急搬送用EVを設置します。このエレベーターは2階救急外来から3階手術部門、4階救急救命センター、5階周産期病棟を通って屋上ヘリポートまで直結します。

屋上ヘリポートへ搬送された救急患者は、それぞれ直に救命救急あるいは手術室へ運ばれることになります。

現在、救急隊が出動要請を受けて30分以内に対応できるエリアとして、佐賀県南部地区と長崎県の一部地域もカバーしています。移転後は全方位にアクセスが良くなるため、さらに広域の対応が可能になります。

― 地域がん診療連携拠点病院です。

定期的に診療所の先生方とがん地域連携パス会議を開催しています。

これは、患者さんが地域内で治療を完結できるよう、佐賀県内の医療機関がそれぞれの特長を生かし、一体となってがん患者さんを支援するための取り組みです。さらに、近隣の医療従事者に対してがんに関する教育研修会も開催しています。

当院のがん治療部位は、大腸・肺・胃・前立腺が半数を占め、乳房・肝臓・膀胱・皮膚と続き、幅広い部位の治療実績があります。しかし、血液がんについては対応する診療科を有していないこともあって、患者さんが県外の医療機関にかからざるをえないのが現状です。

そのため、新病院では血液内科などいくつかの診療科を増設して、地域がん診療体勢の充実に努めたいと考えています。その場合、現在の診療科のベッドを割り当てることになるため、在院日数を短くして回転率を上げることも必要です。

― 電子カルテシステムについては。

2015年6月の新システム移行にむけて準備中です。

今回は、ソフトウェアサービスのシステムを導入しました。システム自体の使いやすさのほかに、導入実績の豊富さや、サポート体制が確立されていそうだと判断したからです。一般的に、異なる電子カルテシステム間で直接データを移行する場合はスムーズにいかないため、ベンダー変更の障壁になります。

しかし、当院では現システム導入当初から、異なるシステム間を仲介する「DWH(データウェアハウス)」に電子カルテ内のデータを取り込んで蓄積してきたため、何とか新システムに移行できそうです。

電子カルテなどの医療情報システムにおいては自社システムで完結するのではなく、医療を担う重要なツールとして、競争力を高めるためにもベンダー間のデータを標準化することが必要だと思います。

― 多忙な1年になりますね。

本年度は、新病院の設計から着工、電子カルテシステムの変更と予定が盛りだくさんです。

来年にはEPA(経済連携協定)に基づいて、東南アジアから看護師養成のための受け入れを行う予定にしています。それに向けて、さっそく今月より病院職員を対象とした英会話教室を開始しました。

たいへん忙しくなりますが、より良い地域医療を確立させたいという、地域住民やスタッフ一同の思いが、我々の原動力となります。


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