新病棟が竣工し、より充実した医療と教育を実現

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高知大学医学部附属病院 横山彰仁 病院長

横山 彰仁(よこやま あきひと) 1983 富山医科薬科大学卒 1986 シカゴ大学リサーチフェロー 1991 愛媛大学医学部第二内科助手 2001 同講師 2003 広島大学大学院分子内科講師 2005 同助教授 2007 高知大学医学部血液・呼吸器内科学教授 2014 高知大学医学部附属病院病院長

 高知大学医学部(南国市)の附属病院再開発は、平成24年1月から6年間を予定して着工した。その第一段階として、新病棟が昨年11月に完成。現代の医療に合わせた設計をしたことによって、患者の入院生活や医療の提供、教育の実施が向上し、また屋上にヘリポートを設けることで、災害拠点病院としての機能なども強化された。備品を搬入する前の2月の半ば、横山病院長に取材した。

●附属病院再開発計画

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「新病棟ができたことによって、高度急性期医療を担う体制が充実しました」と横山院長。

 ちょっと前に病院の30周年のパーティを開催したと思っていたのですが、もう3年以上も前のことになるんですね。その時大学は次の30年に向けて目標を掲げました。病院再開発も、未来を見据えた計画の内の1つです。

 築30年の病院は老朽化だけでなく、当時の医療構想で設計されていますから、患者さんのニーズに応えたり、先進的な医療を実践するためには、困難な状況も出てきたわけです。

 本院の再開発は、新病棟増築、既存病棟改修、そして既存外来棟等改修の3つのステージに分かれています。全ての計画は平成30年度に終了する予定ですが、今回の新病棟完成は、第1ステージの終了ということになります。病院の再開発計画は、平成20年から本格的な検討に入りましたから、ここまでに6年ほどかかっています。東日本大震災の影響で建設業界の人員不足や材料が高騰し、一度目の入札が不調になるなど、予定通りに進まないこともありました。ようやく新病棟を4月から運用できることをうれしく思っています。

●第二病棟の概要と展望

 この度の新病棟完成に伴い、旧病棟を第一病棟、新病棟を第二病棟と呼称することになりました。第二病棟は鉄骨鉄筋コンクリート造地上7階建てで、免震構造を採用しています。延床面積は17,700㎡で、ここに261床があります。

 屋上にはヘリポートを備えたほか、医療ガスや緊急シャワー室を備えた無停電電源コンセントのある処置室も造りました。災害時などに搬送された方を、ここで緊急処置することが可能です。

 屋上から1階まで階段とは別にスロープを造り、エレベータが使えない場合も、車いすの方やストレッチャーを昇降させることができます。電力会社からの配給が止まってしまった場合でも7日間は電力をまかなえる自家発電設備を以前より備えていましたが、それに加えて、第二病棟の屋上にも自家発電設備を設置しました。ここは海岸から離れており、浸水被害からも免れると想定されていますが、災害の程度の予想が必ず的中するとは限りませんので、二重、三重の災害対策を行なっています。

 2階部分には急性期病院の中心である手術部、集中治療部を置きます。手術室は2倍ちかくの広さになり、大型の機器を使用した高度・ハイブリッドな手術にも十分対応できるようになります。

 一般病床を減らし、ICUやHCU、SCUなどを増床します。またNICUやGCUはこれまで少なく、他県に送ったこともあるので、県内で対応できるようにしなければならないという思いがあり、周産母子センターの拡充は是非必要でした。

 第二病棟建設を機に救急部も強化しました。高齢者の多い県ですので、特に脳血管や心臓血管の疾患を救急で診ることが重要だと考えています。脳外科や神経内科、循環器内科などと協働して、対応を充実させていくことになると思います。

●再開発の今後

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医学部の敷地を空撮したもの。手前の赤いヘリポートがある建物が、第二病棟。

 続いて第2ステージである第一病棟の改修を始めます。病室が広くなり、1床あたりのスペースも増えるので、学生などへのベッドサイドティーチングもやりやすくなります。広くなることは、患者さんだけでなく、教育にも良いことです。

 特に個室は、今よりも患者さんに満足してもらえるものになると思います。これまでは総病床の12%である74室しか個室がありませんでしたが、最終的には34%にあたる206室まで増やします。5床室と2床室は解消し、4床室の各入口にはトイレを設けるなど、アメニティは格段に向上します。これまでなかった感染症に対応できる病床も20床になり、最終的な総病床数は、現在より8床増え、613床になる予定です。

 また、研究をするための部屋も造れますので、先端医療学推進センターなどの施設も第一病棟内にできます。集約化した方が良い分野は、今後センター化する予定でいます。また大学病院ですので、トランスレーショナルリサーチにも力を入れていきたいですね。新しい医療の開発に貢献する体制を院内に作るべきだと考えています。

●連携の更なる強化

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第二病棟を北側より撮影。右側に、非常用のスロープを見ることができる。

 一日1000人以上の人が外来に来ます。駐車場がいっぱいで困っているんですよ。

 来院される方には、まずご自宅の近所で受診して欲しいのですが、高知県の事情として、病院や診療所自体が自宅から遠いという人も少なくありません。せっかく車に乗って遠出をするのであれば、設備の整った大学病院まで行きたいという人も多いようです。慢性期疾患の患者さんも多く来院されます。

 病院としては外来機能を少し縮小したいのですが、多様な要望に配慮する必要もあります。ゆっくりと、患者さんの意識を変えていかなければなりません。そのためにも、地域の病院や診療所との連携を強化させねばならないと考えています。

 病院が力を入れて充実させるべきなのは、急性期の入院機能ですが、まだまだ慢性期外来も維持していかなければならないのが現状です。

●周辺状況の開発

 病院敷地内に研修医の宿舎を建てましたが、大学周辺は市街化調整区域で娯楽施設や商店がなく、希望者が多いというわけではありません。スーパーマーケットなどができると嬉しいのですが、人がいないのでできない。ないから人が来ないという、悩ましい状態です。

 また本院は災害拠点病院ですが、実際に強い地震等の災害が起きた場合、市街地から当院に来るのは困難な状況です。病院の機能を存分に活かすためには、周辺地区の開発も必要で、県と市にお願いをしているところです。

 災害時などに職員を緊急招集ができるよう周辺が住宅街になり、職員が集中して住めるようになれば、災害拠点病院としてさらに充実した機能を発揮できるようになるでしょう。


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