日本はワイン王国 - 九州医事新報毎月20日発行 -

シニアソムリエ　久保井　剛

　九州医事新報社から、認知症予防に赤ワインがいいらしいので、何か書いてくれませんかとの電話。私は２０１１年９月号に登場し、「あれから熟成したのではないか」との話も出たそうです。うまいこと言いますね。では手始めに、日本はワイン王国だという話をしましょう。

　昨年10日間ほどイタリアを縦断旅行しましたが、一度もイタリアワイン以外を口にしませんでした。他国のワインが無いわけではないでしょうが、目につくのは全部イタリア産。行く先々で地元の人が、詳細不明の土着ワインを自慢していました。

　駆け出しのソムリエだった20年前にフランスに行った時も同じ。田舎のワインバーで出されたワインをにらみながら、「これはカベルネ、いやシラーかな」とテイスティングしている謎の東洋人を見て店主は苦笑。その店主に、品種や産地、銘柄を尋ねると、「Ｎｏｎ、知らん。その辺で獲れたブドウだろう。でもうまいだろっ」。

　その言葉を聞いて、知識を頭に叩き込むために真剣にやっていた自分が恥ずかしくなってしまいました。

　このように自国のワインしか飲まない（飲めない）国がある一方で、輸入大国の日本では世界各国のワインを誰もが楽しめ、最近では居酒屋や焼鳥屋でも豊富に品揃えして、食の楽しみを応援してくれています。おそらく日本は世界一のワイン王国でしょう。

　私の出身は福岡県で、今は長崎にいます。