数字でわかる[民主]度
福岡市の天神地区を歩くと昨年11月に参加した「福岡レインボー・パレード」の熱気を思い出す。LGBTのことを広く知ってもらおうと学生有志が企画した、九州では初めてのパレードだ。
LGBTとは、レズビアン(女性を好きになる女性)、ゲイ(男性を好きになる男性)、バイセクシュアル(好きになる人の性別が場合によって違う)、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない)の頭文字をとった造語だ。
当日は約600人が参加し、予想外のにぎわいに驚いた。目立ったのはサンバ風のきわどい水着コスプレや、かしましい「オネエ」さんたち。多様性の象徴とされるレインボーカラーの旗をもって福岡市内を練り歩いた。
電通総研の2012年調査では、日本ではおよそ20人に1人の割合でLGBTが存在するとされる。まわりに「カミングアウト」をしていない割合は63.7%。多くが一人で悩みを抱え込んでいる現実がうかがえる。
アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター http://www.pewresearch.org/」の調査結果を見ると、LGBTに対する社会的な理解は、国によって大きく異なる。
「同性愛を容認すべき」と答えた人は、スペインが88%でもっとも高く、欧米やラテンアメリカは容認度が高い。
アジアでは意外にも、日本が54%と高く、韓国の39%、中国の21%を上回っている。イスラム圏やアフリカ諸国は10%以下の国が目立つ。こうした数字からは、その国の「民主度」が測れるようで興味深い。
同性婚を容認しているのは、欧州や中南米を中心に18カ国ほど。日本は同性婚を認めていないが、東京都渋谷区は同性カップルに対して、「結婚に相当する関係」と認めて証明書を発行する条例を3月区議会に提出する方針だという。
LGBTに対する容認度は、世代によっても開きがある。日本では18〜29歳が83%、30〜49歳が71%にのぼったのに対し、50歳以上の世代では39%にとどまった。
こうした数字を見ると、福岡のパレードを企画した大学生たちが、これから社会の空気を少しずつでも変えていくのだろうと思う。