産婦人科医の確保と育成に情熱

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岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 産科・婦人科学教室 平松 祐司 教授

産科婦人科学会副理事長として、また教授として、産婦人科医を増やすために奮闘する平松祐司・岡山大教授に話を聞いた。

【略歴】1977 年岡山大医学部卒。同大学院、岡山大附属病院助手、同講師、岡山大医学部助教授を経て、2000 年ハーバード大ジョスリン糖尿病研究所visiting associate professor。2001 年岡山大学大学院医歯学(現・医歯薬学)総合研究科産科婦人科学助教授、2003 年同教授。日本産婦人科手術学会理事長、日本糖尿病・妊娠学会理事長、日本産科婦人科学会副理事長。

―日本産科婦人科学会の、副理事長を務めています。

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教授は佐藤一斎の言志四録から言葉を書き、医局の前に掲示している。円游は教授の雅号。

 現在は学会の副理事長と未来ビジョンの委員長をしていますが、その前には広報委員長などを務め、いかに若い人を獲得するかということにずっと取り組んできました。

 全国に800余ある研修指導施設それぞれが前年より1人以上は多く入局者を集めようというプロジェクト「Plus One」、産婦人科救急などいろいろなセミナーの全国展開、今年9回目を迎えるサマースクール、学術集会に集まる初期研修医を対象とした「医学生フォーラム」...。学会のニュースレター「Reasonfor your choice」は私が広報委員長の時に立ち上げましたし、妊婦と0〜1歳の子供がいる母親を対象としているフリーペーパー「Anetis」(アネティス)内の4ページでは、産婦人科の魅力を伝えています。

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JSOG Newsletter Reason for your choice
平松祐司教授が広報委員長の時に立ち上げた日本産科婦人科学会のニュースレター「Reason for your choice」。2014年10 月発行の15 号では、同学会学術講演会としては初めて開かれた「医学生フォーラム」について報告している。また、研修医が産婦人科を選んだ理由や夢を語る「研修医の声」欄も読み応えがある。

 学会のホームページも充実させ、新しいプロモーションサイトでは、理事長の顔とメッセージを打ち出したり、インフォメーショングラフィックスにしたりと工夫しています。

 さらに昨年9月には「HUMAN+ 女と男のディクショナリー」という冊子をまとめました。思春期、青年期、中高年期といった各年代の女性、そしてパートナーであるボーイフレンドや旦那さんに知ってほしいことを、学会のメッセージとして伝える必要がある、という考えからです。

 その他、新たな試みとして、産科婦人科学会のマスコットキャラクターの作製、臨床研修情報サイトの活用なども検討しています。

 学会として、産婦人科のブランディングと、産婦人科の敷居を下げて親しみやすいイメージづくりに取り組んでいます。身近な存在となり、子どもたちに「自分もお世話になったから、産婦人科医になる」と思ってもらえたら、そんな長期的展望に立っています。

―教授歴は10年以上。力を注いでいることは。

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「HUMAN+ 女と男のディクショナリ―」
平松祐司教授らが中心となってまとめた健康手帳「HUMAN+ 女と男のディクショナリ―」(2014年9月、日本産科婦人科学会制作・発行)。「思春期」「青年期」「将来の妊娠のために」「妊娠出産」「中高年期」の5つに分けて構成、「女子も知りたい『おちんちん』の話」「女性のキャリアと妊娠」「イクメンたるべし!」「『死ぬまで元気』を実現するために」など細かいテーマを設定し、産婦人科や泌尿器科の医師らが分かりやすく解説している。 
1人1冊、最低でも一家に1冊は置いておきたいこの手帳。内容は日本産科婦人科学会HP でも公開されている。

 この4月から13年目に入ります。1番は探究心、リサーチマインドを持った若い医者をいかに育てるかということで、それに日々苦労しているのが現状です。

 産婦人科は、女性の生まれてから死ぬまでの一生を担います。周産期、子宮がんや卵巣がんといった婦人科腫瘍、月経異常や不妊症、不育症といった生殖内分泌、更年期障害や骨盤臓器脱、骨粗しょう症などのヘルスケアという4つの大きな分野があり、外科的な部分も内科的な部分もある。しかも生殖内分泌や周産期は分かっていない未知の部分がたくさんあります。

 産婦人科は、本当におもしろいんです。ですから学生や研修医との雑談の中で彼らが何に興味があるのかを察知して、その人が興味を持つような話をし、より関心を持ってもらえるようにしています。

 私のころは、手術は見て盗む時代でした。何でも教える今は、昔では考えられないような環境です。でも、ただ教えても相手の記憶に残りません。分かっていない部分を認識させ、ヒントを与えて理解に導く「コーチング」をしないといけないと思っています。

 一方でカンファレンスルームには「教えることは最高の学び」と書いて張っています。私は、臨床実習で指導する際、よく「それは何で?」と訊ねます。そう聞いていくと、彼らは時に、私たちが思いもつかないことを言うんですね。それは私たちにとっても学びになる。彼らと話をするのは面白いと思うのです。

 「その時の出会いがその人の一生を変える」という松下幸之助の言葉があります。私と出会い、産婦人科を好きになってもらいたいという思いで学部生への講義でも研修医への指導でも一生懸命に話していますし、その工夫との戦いです。

専攻医の教育は。

 ある一つの病院に就職し、定年まで働いていれば良い医者になれるわけではありません。

 岡山大学では、昭和40年代から、岡山大と関連病院とが若手医師を育成するチームとして一緒に取り組み、ローテーション研修するシステムで動いています。

 まず半年は大学で4分野の専門家から学びつつ同期の絆を深め、その後は1年ごと2病院でローテート研修をします。その時に気を付けているのは、各病院で違う領域を経験させること、そして患者を送る側と受け入れる側の両方の病院を経験させること。そして最終年は大学に戻り、専門医試験に備えます。

 この時期に、いろいろな人と出会うことはとても大切です。他科の先生との関わりもありますから、良い点、悪い点を学び、自分はどういう医者になりたいかを見つけてくるよう指導しています。初めは周産期をやりたいと思っていても、患者さんと接しているうちに変わってくることも多々あります。ですから、まずはいろいろなところを経験してみることです。

―若手に贈る言葉を。

 どんな場所に行っても不平不満を言わず、置かれた場のいいところを見つけて、一生懸命やりなさいと言いたいですね。そうすれば、誰かが見ていてくれます。そこで腐らず自分ができることが何かを考えて、頑張らないといけません。頑張ることで、必ず花が咲いてきます。


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